「メトロ以外」の新線構想、蒲蒲線や大江戸線の今 「進めるべき」都内6路線はどうなっている?

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多摩地区を南北に結ぶ多摩都市モノレールは、北側と南側でそれぞれ延伸計画がある。先行しているのは北部の上北台―箱根ヶ崎間約7kmだ。

同区間は、都が事業化に向けた現況調査や基本設計などの実施について2020年度予算で1億円を計上した。この際、沿線である武蔵村山市の藤野勝市長(当時)は「7万2千市民の長年の悲願であるモノレール延伸の実現に向けた大きな前進」と評価し、早期の事業化に期待するとコメントした。都は2021年度予算でも3億円を計上している。

多摩都市モノレールは路線の北側と南側でそれぞれ延伸計画がある(撮影:大澤誠)

同市は都内の市で唯一鉄道駅がなく、軌道系交通の延伸は悲願。市の担当者はモノレール延伸について「最重要施策」と語る。

一方、南側の多摩センターから町田方面への延伸は導入空間の用地取得が課題だ。この対策として、地元・町田市は2019年、「多摩都市モノレール町田方面延伸加速化プロジェクト」を開始した。これは都が施行予定の導入区間になりうる都市計画道路用地を、都の事業着手に先立って市が取得するというもので、現状で1000平方メートルを取得しているという。

また、町田方面への延伸では導入空間となりうる道路が確定していない区間もある。このルート検討については都や市、有識者らによる検討委員会が設置されたものの、今のところ2019年度に3回開かれたのみだ。市の担当者は「検討委が開催され、まずはルートを決めることが大事」と話す。

どの線が先行するのか

これらの5路線と有楽町線豊洲―住吉間の延伸は、新線整備の優先度を具体的に明示しなかった2016年の交政審答申の中で、「十分な検討が行われることを期待」などの表現だったその他の路線より1ランク上と受け取れる「進めるべき」との言葉で表現されたプロジェクトだ。都の新線建設等準備基金もこれらの路線を対象として設けられた。

現状で鉄道事業申請の許可を受け、開業予定時期も示されているのはJRの羽田空港アクセス線のみで、ほかはまだ事業化には至っていない。一方で、地下鉄をめぐる今年7月の答申では6路線に含まれていなかった都心部・品川地下鉄が「早期の事業化を図るべき」、都心部・臨海地域地下鉄が「事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」とされた。

6路線はさまざまな形で検討や調整が進んできているが、どこが先に事業化されるかという点では今回の答申が影響してくる可能性もありそうだ。また、コロナ禍による鉄道利用者の減少も今後の新線整備にまったく関連しないとは言い切れないだろう。はたして、いち早く実現に至るのはどの路線か。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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