「メトロ以外」の新線構想、蒲蒲線や大江戸線の今 「進めるべき」都内6路線はどうなっている?
一方、6路線の中でもう1つの羽田アクセス路線が「新空港線」(蒲蒲線)だ。同線は約800m離れている東急・JRの蒲田駅と京急蒲田駅、そして京急空港線を結び、羽田空港へのアクセス改善を図るのが目的。東急多摩川線の終点・蒲田駅の1つ手前となる矢口渡駅付近から地下線を建設、蒲田駅地下を経て京急蒲田まで延ばし、さらに京急空港線の大鳥居駅に接続するという構想だ。地元の大田区が長年整備を求めている。
このうち、第1段階として計画が進んでいるのは矢口渡から京急蒲田までの区間だ。同区間は2016年の答申で、事業化に向け「合意形成を進めるべき」とされた。
同年の調査によると、概算事業費は約1260億円。第三セクターを整備主体とし、運行は東急電鉄が担う想定だ。同区の松原忠義区長は2017年、同年度中に整備主体の三セクを設立したいとの方針を表明したが、現時点で設立には至っていない。
区によると、同線の整備スキームとして想定しているのは、整備主体・国・地方がそれぞれ3分の1ずつ費用を負担する「都市鉄道等利便増進法」の活用。このうち、地方分である都と区の負担割合をどうするかが課題という。2020年9月からは区と都による「新空港線及び沿線まちづくり等の促進に関する協議の場」が設けられ、これまで3回の会議が開かれている。区の担当者は「できれば今年度中に負担割合を決め、三セク立ち上げができれば」と話す。
大江戸線延伸はどうなっている?
一方、駅前広場の予定地が確保されるなど、周辺環境の整備が進んでいるといえそうなのが地下鉄大江戸線の延伸だ。
同計画は、現在の終点である光が丘から大泉学園町(練馬区)を経て東所沢駅(埼玉県)に至る計画。このうち、2016年の答申で「進めるべき」とされたのは光が丘―大泉学園町(仮称)間の約4kmだ。同区間は都区内でも「鉄道空白地帯」と言われる地域を通り、地元・練馬区の期待は高い。
同区間は地下にトンネルを通す導入空間となる都道の整備が進展中で、練馬区の資料によるとすでに用地取得率は8割を超えている。2015年からは都と協議を実施し、駅やトンネルの構造、延伸に必要な車庫整備など、施設に関する具体的な検討を進めているという。区が2011年から積立を続けてきた「延伸推進基金」も、2019年度で50億円に達した。
2019年10月、小池百合子東京都知事は同区の前川燿男区長との会談で、大江戸線の延伸について「事業化に関する検討を進めている」と発言した。導入空間の道路整備が完了すれば「地ならし」はほぼ整うといえそうだが、知事発言以降、今のところ事業化に関する話は出ていない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら