「多様な人材活用が企業の発展につながる」というダイバーシティ経営の考え方が世界的に広がりを見せている。日本でも、遅れていた女性活用を中心に活動を始める企業が増えてきた。
だが、「女性活用」などダイバーシティ経営とその成果について国内で十分に分析がされているとは言えない。海外では、「ROEが高い大企業は女性比率も高い」という調査結果があるが、日本でも同様のことが言えるのだろうか。今回、東洋経済刊『CSR企業総覧』のデータを使い、上場企業のROEと女性比率の関係を探ってみた。
使用したデータは『CSR企業総覧』に掲載している女性管理職比率、女性部長職比率とROE。ROEは2009年3月期までの3期平均を使用した。ROE10%以上、5~10%未満、0~5%未満、マイナスの4つのグループに分け、それぞれ女性比率の平均値を集計。企業規模による差も調べるために、売上高(3期平均)1000億円以上と100~1000億円未満でそれぞれ分析した。
これを見ると、全体的にROEが高いほど女性比率が高い傾向にあることがわかる。売上高1000億円以上の女性管理職比率は、ROE10%以上で2.68%、同5~10%未満2.38%、同0~5%未満2.09%とROEが高いほど比率が高くなっている。女性部長職比率もROE10%以上1.07%、同5~10%未満0.80%、同0~5%未満0.68%と同じ結果となった。
一方、売上高100~1000億円未満では、女性管理職比率は売上高1000億円以上と同じ傾向にあるものの、女性部長職比率はバラつきがある。ROEと女性比率の関係はすべてに言えるわけではなかった。
さらに、女性管理職比率がもっとも高いのは、売上高の違いに関わらずROEがマイナスの企業であることも注意が必要だ。だが、これには理由がある。