認知症の親が増え跋扈する「成年後見ビジネス」

家族を向こうに弁護士や司法書士たちが群がる

成年後見人が本人の意向を聞いてくれるとは限らない(写真:maroke / PIXTA)

ある日突然、弁護士が自宅に来て、こう言った。「家庭裁判所によってあなたに後見人が付くことになりました。私が後見人です。あなたにご自分の財産を動かす権利はありません」━━。

2000年4月から介護保険制度と同時に始まった「成年後見制度」。今や介護保険は在宅サービスで約400万人、施設サービスで約95万人の利用者がおり、すっかり社会に定着した。だがそれとは対照的に、成年後見の利用者はわずか23万人にすぎない。そればかりでなく、「こんなことなら利用しなければよかった」との声すら聞こえてくる。

『週刊東洋経済』7月26日発売号では「相続の新常識」を特集成年後見制度だけでなく、相続から生前贈与の行方、親族間の揉めるトラブルまで、超高齢化社会が抱えるさまざまな問題点を取り上げた。

本人の権利を制限、意思も反映されず

成年後見制度とは、認知症の高齢者や知的・精神障害者などの財産を守り、その活動を支援するために作られたものだ。これには任意後見と法定後見の大きく2種類に分かれる。

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任意後見では、本人に判断能力があるうち、信頼できる人に「自分が認知症になったらこうしてほしい」と希望を伝え、契約を締結する。契約を結んだ任意後見人は、依頼者本人が認知症になったと判断したら、家裁に申し立て。家裁は任意後見人の活動を支えるために、任意後見監督人も選任する。

一方の法定後見では、認知症などで本人に十分な判断能力がなくなった後、家裁が職権で法定後見人を付ける。法定後見の申し立てができるのは、本人や4親等内の親族、市町村長など。申し立てを家裁が審理した後、法定後見人を選任するというわけである。

成年後見人がつくと、本人の権利は、大幅に制限されるのが一般的だ。スーパーなど日常の買い物以外の経済行為は、成年後見人が代理で行い、公務員や医師、弁護士などの資格も失う。

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