伝説の自動車評論家「プジョーEV」の虜になった訳 納車から半年経ったが、運転したい日が続く

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

話は一気に10年ほど飛ぶ。昨年秋のことだ。僕は箱根路を半ば「恍惚状態!」で走っていた。相棒はAudi e-tron Sportback。

360ps/57.2kgmの出力/トルクを発揮するEVだが、ごくシンプルに言えば「カッコよくて、最高に気持ちのいい走り!」に強く惹きつけられたのだ。ちなみに「ブーストモード」では408ps/67.7kgmにまで上がり、0~100km/hは5.7秒(ノーマルモードは6.6秒)になる。

この数字そのものはとくに驚くようなものでもない。が、ペダルを踏み込んだ瞬間の反応ぶりは、ただただ気持ちがいいのひと言だ。間髪入れないレスポンスはもちろんだが、さらに「素晴らしい滑らかさ!!」が加わる。それは、「剛性感と緻密さを徹底して突き詰めたEV」でしか味わえないものだろう。

バッテリーをフロアに敷き詰めたことによる低重心化と重量配分適正化、絶対重量がもたらす重厚な乗り味……今まで経験したことのない「新たな上質感」が押し寄せてきた。滑らかさと確実な減速感を両立させた3段式回生ブレーキも快感を誘う。軽やかでメリハリあるパドル操作感も実に心地よい。

「クアトロ」……電子制御された電動4WDは、通常はリアモーターを駆動。後輪駆動状態ということだ。……が、走行状況に応じて前後の駆動トルク配分を予測制御する。この制御もまた巧み。「制御されている」といった押し付け的印象はまるでない。ドライバーが自らの意志とテクニックで操っているという実感に浸らせてくれる。

家内に言い出す直前で理性が働いた

そんなことで、箱根路を走りながら、僕は半ば「恍惚状態!」といったことになってしまったわけだ。となれば当然ほしくなる。ほんとうにほしかった。……が、家に帰り、家内に言い出す直前……まさに寸止め状態で理性が働いた。

理性が働いたのはボディサイズが頭に浮かんだからだ。4900 ×1935×1615mmのスリーサイズは、われわれの年齢と日常の行動範囲を考えるといささか大きい。年齢はご想像に任せるが、日常的な行動範囲はかなり狭くなっている。仕事を厭わなかった頃の僕には、1日100~200kmは日常。300~400kmも半ば日常だった。

ところが今はといえば、ときどき銀座(往復50km程度)へ食事に行き、たまにお気に入りの箱根のホテル(あちこち寄り道しても200km程度)へ行くのがせいぜい。以前は僕用と家内用の2台は最低限必要だったのだが、上記のようなことで、3年ほど前から1台に減らした。1台で用が足りるようになったということだ。

次ページもうひとつ変化した点は?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事