大谷翔平への無責任な「差別発言」から学べること 黒人コメンテーターが犯してしまった間違い

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エンゼルスで大活躍する大谷選手にアメリカ人コメンテーターが言い放ったこととは(写真:hearon W. Henderson /Getty Images)

「通訳を利用しているので、野球の顔とは言えない」。

7月13日、アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNの人気コメンテーターのスティーブン・A・スミスはアメリカ大リーグ(MLB)でセンセーションを巻き起こしている大谷翔平について、朝の番組「ファーストテイク」でベーブ・ルースと比較してこう言い放った。

「興行収入の面から害を及ぼしている」

「リアル二刀流」として先のオールスターにも出場し、アメリカでも高評価を得ているロサンゼルス・エンゼルスの大谷の功績については多くを語る必要はないだろう。だが、その大谷ついてスポーツジャーナリストでもあるスミスはこう続けた。

「野球は、参加という観点では国際的なスポーツだと思う。だが、テレビや球場に引き寄せられる観客について言えば、ナンバーワンの男がこの国で何を言っているのか理解するのに通訳が必要というのは、実際に(野球を)見てみたいと思わせるのに役に立たないのではないか」

スミスはさらにこうも言った。

「英語を話さない、通訳が必要な外国人選手がいるという事実は、興行収入の面から、試合にある程度の害を及ぼしていると思う」

スミスは日本では馴染みのない名前かもしれないが、アメリカのスポーツ分析に関して、彼ほど広く知られ、評判のいい黒人のスポーツ解説者はいない。人種に関係なく業界のトップに名を連ねる1人なのだ。私は、長い間彼のファンだし、「ファーストテイク」の番組のファンでもある。情報量が多く、スポーツ分析も面白いのでこの番組に注目をしていたのだ。

しかも、スミスは私の故郷であるニューヨーク市の出身で、私と同じ環境と世代の影響を受けた人物である。だからこそ、彼の「オオタニサン」に対する発言が、どこにでもいる黒人男性ではなく、私の尊敬する黒人の男性の口から出たのを聞いた時、とてもショックで残念だった。

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バイエ・マクニール 作家

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Baye McNeil

ブルックリン出身の作家・コラムニスト・講演者。2004年に来日し、「The Japan Times」 などで執筆しながら、異文化の交差点で生きる経験や、人種・アイデンティティ・多様性について鋭い視点で発信している。代表作 『Hi! My Name is Loco and I am a Racist』 に続き、最新作『Words by Baye, Art by Miki』 では、日本人の妻と築いた人生をユーモアと洞察に満ちた筆致で綴る。日本社会の枠にとらわれない視点が話題を呼び、講演やワークショップも多数開催。ジャズ、映画、ラーメンをこよなく愛する。

ウェブサイト:Baye McNeil/life in Japan

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