有楽町線延伸や品川地下鉄…「新線構想」の現在地 メトロ株売却とともに「早期事業化図るべき」

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都は2018年度中に整備スキームを示すとし、2019年3月末に「都としては、東京メトロによる整備、運行が合理的」としたうえで、同社に延伸した場合の設備などについて調査を依頼すると表明した。

だが、東京メトロは以前から新線建設は行わない方針を示していたため、区はこの内容では「事業スキームというには不十分」と反発。「事業主体や財源の調整もしておらず、スキームではないと認識している」(同区の地下鉄事業推進担当者)というのが区のスタンスだ。

今回の小池都知事への申し入れでも、「約束の履行期限から2年以上が経過した現在においても、いまだに約束は果たされていません」と厳しい表現で早期の取り組みを求めている。同区担当者も「そもそも、都は全力でやっていくと約束している。責任を持ってやっていただきたい」と語る。

3路線の中ではやや先行?

有楽町線(東京8号線)の豊洲以北延伸は1972年に答申され、構想はほぼ半世紀にわたる。区は2007年度から豊洲―住吉間について独自調査を実施してきた。

延伸区間の事業性は、国交省が2019年度に実施した調査では良好との評価だ。整備の費用対効果を示し、数値が1を上回れば効果があるとされる費用便益費(B/C)は2.6~3.0との検討結果が出ているほか、全国有数の混雑路線として知られる東京メトロ東西線などの混雑緩和にも寄与するとしている。2020年からは国と都、東京メトロが駅の構造など技術面に関する勉強会をすでに7回開いており、今回の答申に盛り込まれた3路線の中でも進度としてはやや先行しているといえる。

ただ、約1500億円とされる建設費の負担はもちろん、ほかにも課題はある。新線は東京メトロの他線から利用者が流入することを見込んでおり、メトロの既存路線の減収を招くことが指摘されている。答申も、「メトロへの経営全体への影響も精査した上で支援を検討する必要がある」としており、この点は同社が事業主体となるうえでは課題となりそうだ。

また、東西線の混雑も2020年度の調査ではコロナ禍の影響を受け大幅に緩和されたが、区の担当者は「コロナ禍という状況下であり、今回の数値をもって混雑が解消したとは考えていない。混雑緩和だけでなく、東京東部からのアクセス向上など新線の持つさまざまな意義に変わりはない」と話す。

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