つくばエクスプレス「8両化」なぜ10年もかかる? 自慢の地下・高架線がネック、完了は2030年代

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現在は6両編成のつくばエクスプレス(TX)。2030年代前半の8両化を目指す(記者撮影)

2005年の開業以来、沿線開発の急速な進展で利用者数が増え続けているつくばエクスプレス(TX)。同線を運営する首都圏新都市鉄道は5月末、現在6両編成の列車を8両化する事業に今年度から着手すると発表した。

TXの2018年度の1日当たり輸送人員は約38万6000人で、2008年度と比較して13万人近く増加。2010年度に160%に達した混雑率は列車の増発でいったん146%まで下がったものの、2018年度には過去最高の169%まで上昇した。

今後も沿線人口の増加が見込まれるだけに、利用者にとっては「待望」の8両編成化。だが、実現するのは今から10年以上先、2030年代前半の予定だ。沿線住民や自治体関係者からは「もっと早く……」との声も漏れる。

朝は車内も駅も混雑

TXは朝ラッシュ時の上り列車54本について、各列車の混雑度を6段階に分け「見える化」した表を公式サイトで公開している。平日上りのピークは、北千住駅に7時40分ごろ~8時15分ごろに到着する列車だ。

6月中旬の平日の朝、同駅に7時56分に着くつくば7時12分発の区間快速秋葉原行きに乗った。つくばを発車した時点では座席がすべて埋まる程度で、5つ目の守谷を出るころには吊り革が8割方ふさがるものの、まだ車内には多少の余裕がある。

だが、東武野田線と接続する流山おおたかの森で一気に乗客が増え、JR武蔵野線と接続する南流山を過ぎると身動きが取りづらいほどの混み具合に。北千住の1つ手前の停車駅、八潮からの利用者はドア付近の手すりや壁をつかんでなんとか乗り込める状態だ。

混み合うのは車内だけではない。各駅のホームは、混雑対策として2012年に10両相当の長さに拡張した南流山を除けば6両分の長さで、スペースはそれほど広くない。ラッシュ時にはホーム上も大勢の乗降客でごった返す。利用者の1人は「ここ数年でとくに混むようになった感じ」と話す。

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