日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さとは 適度に日光を浴びて脳の若さと心の健康を保つ
米英の研究者が、2160人の女性の双子を対象にビタミンD濃度と炎症との関係を調べたところ、同じ双子であっても、ビタミンD濃度が高いほうが炎症レベルは低かったという。言い換えれば、同じDNAを持つ、同じ年齢の成人であっても、ビタミンD濃度が低いと老化が早く進むということだ。
とはいえ人間の老化の研究は明らかに難しく、これだけではなんとも言えないし、決定打ということもない。ビタミンDという変数が寿命に及ぼす影響を確かめるときには、人間と似ているが、もっと寿命の短い生物を対象に選ぶ必要がある。
その理想的な対象とされているのが線虫だ。体調約1ミリメートルで、寿命は2週間ほど。バック老化調査研究所の専門家は、充分に成長した線虫にビタミンDを投与し、驚くような発見をした。平均寿命がなんと33%も延びたというのだ。
ビタミンDはアルツハイマー病に効果あり?
ビタミンDは血液中に入ると、体細胞の受容体と結合する。この受容体は、すべての遺伝子の5%に当たる約1000の遺伝子発現に影響を与える。がんや心臓疾患の予防から免疫系の正常な機能まで、心身の健康と幸せな生活のほとんどに関係がある遺伝子だ。
誰も、エンジンの5%が不具合の飛行機には乗らないだろう。あなたのエンジンを、そんな欠陥状態のままにしておくべきでもない。
脳にもたくさんのビタミンD受容体がある。ビタミンDは脳内で抗酸化レベルを調節し、酸化ストレスを中和して緩和する。アルツハイマー病やALS(筋萎縮性側索硬化症)に伴う、神経細胞の過剰な活動も抑制する。また、免疫細胞を刺激して、アミロイドβを除去する。これは、アルツハイマー病を引き起こすとされているタンパク質だ。
最近のメタ分析のひとつは、アルツハイマー病の最大の環境リスク要因として、ビタミンD不足をあげている。健康で血中ビタミンD濃度が正常な人の場合、歳を重ねても認知能力が高く、その低下速度も2〜3倍遅いという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら