「実務の成果」で管理職を選ぶ日本の職場の大問題 これからの時代の「ジョブ型上司」のススメ

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そこで、重要なのが、「管理職は皆リーダーシップを持っている、あるいはいずれ発揮するようになる」という前提を疑ってほしいということです。

そもそも日本の職場の管理職は、これまでの実務の成果やスキルを評価されて昇格しているケースがほとんどです。リーダーシップがあるから管理職に抜擢されたのではありません。ひどいケースでは、経営陣への忖度がうまいだけで昇格していることさえあります。

そのうえ、管理職になってからは、職場改善や部下育成などについて教育の機会はほとんどなく、せいぜい1日ありきたりなリーダーシップ研修を受けて感想文を書くぐらいのものです。

管理職の業務と、一般スタッフの業務は異なるはずですが、一般スタッフ向けの業務遂行に関する教育機会はあっても、管理職向けの管理職業務の遂行に関する教育機会はほとんどないため、管理職が職場で機能していないのはある意味で当たり前ともいえるのです。

会社も部下も知らない管理職特有の悩み

働き方改革で残業に対する規制がより厳しくなった今、管理職が頭をかかえる大きな問題があります。それは「管理職が労働時間の削減に関するしわ寄せを一手に受けている」ということです。

本来、労働時間を削減するためには、「仕事のやり方を改善して生産性を高める」「スタッフを育成して生産性を高める」といったプロセスが必要です。しかし、現状では「早く帰れ」「残業するな」「有給休暇を消化しろ」といった声かけだけをするケースが散見されます。

結果として、仕事ができない人を育てたり、仕事ができない人に仕事を任せたりすると、時間がかかったりミスをしたりするので、管理職や仕事のできる人に仕事が集中してしまいます。そうすることで、仕事のできない人は「本人ができる仕事」しか与えらないため、「自分は仕事ができる」のだと勘違いしているケースもあります。

さらに、「管理職は誰よりも残業をし、休日を返上して働くのが美学」「教育指導は背中で語るものだ」といった精神論が残る職場では、マネジメントどころか管理職本人がダウンしてしまうという問題が起こりかねません。

このような状態ですから、管理職は十分にスタッフを教育することが難しいというのが実態なのです。しかも、会社と部下の板挟みになって日々孤軍奮闘している管理職の悩みに関心を持ち助けてくれる人はいないため、管理職の中には、毎日顔色が悪かったり、職場で不満を口にしたりする人がいるというわけです。

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