「実務の成果」で管理職を選ぶ日本の職場の大問題 これからの時代の「ジョブ型上司」のススメ

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前述のとおり、会社は最新のツールやノウハウの導入に大きな投資をします。まるでそれらを導入するだけで、職場の問題がまるごと解決できると言わんばかりです。

また、若手スタッフの育成にも力を入れます。入社時の研修はもちろんのこと、会社によっては入社後には1人ひとりにOJT担当の上司がついて、育成計画などをつくり進捗を確認しながら、丁寧に育成を進めていきます。

ところが、管理職育成はというと、圧倒的に優先順位が低いのが日本の職場の実態です。しかし、日本の管理職はとても真面目なので、自分自身で書籍やセミナーなどに投資をして、学んでいる方もいらっしゃいます。ただ、そういった書籍やセミナーで勉強したことを、自身の職場で活かせている管理職はほとんどいないでしょう。

なぜ自分の職場で活かせないのか

その理由は2つあります。

1つ目は書籍やセミナーのテーマが「リーダーシップの養成」に偏っていることです。さきほどもお伝えしましたが、日本の職場のほとんどの管理職は、リーダーシップを持ち合わせていません。

そこに、リーダーシップを鍛えろというのは無理があります。人間には適性があるからです。だからこそ、リーダーシップの本を読んで、「さあ明日から管理職として成果を出せるように頑張るぞ」と意気込んだところで、実際に職場で行動に移すことが難しいのです。

2つ目は、管理職本人が管理職の職務内容を具体的にイメージできていないということです。職場において、一般スタッフはやるべき職務内容が明確です。だからこそ、実務の研修を受けて、実務を実践していき、その繰り返しの中でスキルアップしていきます。

ところが、管理職の職務内容は明確ではないことが多いのです。いくら書籍を読んでみても、例えば旧態依然とした「目で見て盗め」方式の育成を受けてきた上司には、きちんと部下を教育する方法を具体的にイメージすることはできません。

こういったことが日本の職場で管理職が機能しない原因となっています。

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