意外と知らない「公的保険」を活用し尽くす方法 民間保険に入る前に知ってほしい日本最強保険

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さらに傷病手当金は、入院していなくても会社を休んでいればお金がもらえます。一方、民間の医療保険は、基本的に入院していなければ支給されません。

なかには、入院していなくてもお金がもらえる「就業不能保険」「所得補償保険」といった保険もありますが、支給されるまでには保険会社が定めた待機期間(6カ月など)があるうえ、さらにその間に回復していないという医師の診断書の提出が義務づけられるなど、かなり厳しい条件をクリアしないと支給してもらえません。しかも、うつ病などの精神疾患は対象外とするケースが多いため、せっかくお金を払っていたのに使えないということも多いのです。

足りない分を民間保険でカバーすればいい

【2】給付金額
健康保険の傷病手当金は、もらっていた給料をベースに計算します。だから給料が高い人ほど給付額も上がるのですが、民間の医療保険はそうはなりません。契約時に「入院1日につき5000円」と条件を決めたら、もらえるのは必ずその金額です。

傷病手当金であれば、月給30万円をもらっている人なら3分の2の20万円がもらえますが、民間の医療保険の場合は、1日5000円の保障なら、1カ月で15万円です。入院することが受け取りの条件ですから、退院して自宅療養に移ったらもちろんゼロになります。これなら、給料がベースになっている傷病手当金のほうが、保障としてよほどすぐれていることがわかると思います。

【3】民間保険にはない手当
健康保険や国民健康保険には、子どもが生まれるともらえる「出産育児一時金」があります。健康保険の場合は、「出産手当金」もついてきます。
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まずは公的保険を使い、それで足りない分を民間の生命保険でカバーする。決して保険で資産運用をしようなどと考えないこと。これが保険の基本的な考え方です。

その際は、余計なオプションのついていない、掛け捨ての生命保険を選びましょう。そして必ず、人件費がかからないため保険料を安く抑えられるインターネット保険から探すことを忘れずに。

荻原 博子 経済ジャーナリスト

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おぎわら ひろこ / Hiroko Ogiwara

 1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済の仕組みを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『払ってはいけない』(新潮新書)、『老前破産』(朝日新書)、『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)など多数。

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