報徳会宇都宮病院の「入院治療」あまりに驚く実態 各種専門家から厳しい指摘、山のようなクレーム

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この長期入院患者9人の主治医はすべて、同院の「オーナー」である石川文之進(ぶんのしん)医師(95歳)だ。ちなみに宇都宮市医師会精神科医会は、各医療機関の院長、理事長のみが出席する会合だが、「資格がないにもかかわらず、報徳会宇都宮病院からは石川文之進氏が出席していた」(朝信医師)。

9人のカルテから見えた驚愕の実態

9人(対象者A~I)のカルテに対して診療ガイドライン等に基づき、朝信医師が行った指摘は下記のとおりだ。

石川文之進医師が主治医の9人の長期入院患者のカルテに、朝信医師は数々の指摘を行った(記者撮影)
A
・入院要否意見書にC型肝炎や糖尿病の病名記載があるが、診療録に血液検査の結果や評価に関する記載がない。
・アルツハイマー型認知症の病名記載があるが、服薬など治療をしていない。
・傷病名がレセプトでは統合失調症だが意見書では老人性精神病。
B
・統合失調症の病名記載があるが、診療録に統合失調症の検査結果や評価に対する記録がない。
・統合失調症の病名があり、入院形態が「医療保護」(強制入院の一種)と記載されているが内服がない。医療保護入院の必要性があるのか。
C
・内服の治療をしていないのに入院の必要があるか。
・長期入院診療計画書がない。
D
・ベルソムラ(睡眠薬)のみの処方があるが、精神入院の必要があるのか。なぜ内科入院にしないのか。
・入院診療計画書がない。
E
・精神科の治療薬を飲んでいないのに、精神科入院が必要なのか。退院できない理由の記載がない。
・傷病名がレセプトでは老人性精神病だが意見書では老年期認知症(妄想型)
F
・診療録に処方の記載がないため、何が処方されているのか不明。また治療計画の記載がないため、退院支援介入の有無、退院計画が不明。さらに病名が「覚せい剤後遺症」となっているが、症状の経過の記載がないため、精神科入院の意味がない。
G
・診療録に処方の記載がないため、何が処方されているのか不明。
・診療録に長谷川式検査結果がH27年に22点、H30年に29点(30点満点中)の記載があるが、なぜ医療保護入院なのか、また、この検査は最低年2回必要だが実施していない。
・診療録に「中等度認知症」とあるが診療記録がない。また退院計画の記載がないが、なぜ入院が必要なのか。
・傷病名がレセプトでは便秘症だが意見書では老年精神病。
H
・診療録に退院支援計画がない。
・入院要否意見書に「うつ病」の病名記載があるのに、抗うつ薬の処方がない。
・傷病名がレセプトでは器質性精神病だが意見書では器質性うつ病
I
・「糖尿病」「高血圧症」の病名記載があるが、診療録に採血結果の記載がなく、治療薬も飲んでいないし、HbA1c(平均血糖値)の記載もないが、なぜ糖尿病診断なのか。
・診療録に「てんかん」の病名記載がないが、治療薬が処方されている。
・傷病名がレセプトでは統合失調症だが意見書では非定型精神病。

「正直、こんなでたらめは見たことがないし、こんなことがありうるのかと思うほどひどい」(朝信医師)。

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