銀河と瑞風、JR西「二枚看板」で挑む地域共生戦略 人気車両活用、自治体と連携しエリア活性化へ
心地よい列車の揺れにまどろんでいると、白々と夜が明けてきた。車内のスピーカーから懐かしいチャイムが流れる。「ハイケンスのセレナーデ」。国鉄時代の特急などで使用されていたものだ。
往年の夜行列車の伝統を受け継いだJR西日本の特急「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」が、紀伊半島に乗り入れる。7月16日から12月22日までの間、京都―新宮間を週4日走行する。金曜、月曜が京都から新宮に向かう夜行列車、日曜、水曜が新宮から京都に向かう昼行列車。コロナ禍での運行ということもあり、旅行商品に限定して販売される。
地元が熱望「銀河」和歌山乗り入れ
銀河の車両は直流近郊型電車の117系を改造して製造された。運行開始は2020年9月。昼間や夜間の長距離列車としてまず関西と山陰、山陽方面を結ぶ。
「ぜひ紀伊半島にも乗り入れてほしい」と、和歌山県の沿線自治体がJR西日本に提案した。県と新宮市、那智勝浦町、北山村など沿線7市町村が2020年10月、合同でJR西日本に対して銀河の和歌山県乗り入れを要望。今年3月にJRと沿線自治体による協議会を立ち上げ、議論を重ねた結果、実現に至った。
銀河が紀伊半島を走るということは当初からプランにあったのか。こんな疑問に対して、JR西日本鉄道本部の内山興営業本部課長は、「最初から決まっていたわけではないが、基本的には117系の走行実績がある当社の直流電化区間であればどこでも走れる」と話す。117系は紀勢本線などでの走行実績があり、紀伊半島への乗り入れは可能だった。
車両デザインを手掛けた建築家の川西康之氏も感慨深げだ。銀河プロジェクトの検討が始まった5年ほど前から、営業走行する可能性のあるJR西日本の沿線の風景や駅を見て回った。和歌山にも足を運んだ。
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