ヤマハが“音楽”へ原点復帰

ピアノの頂点、スタインウェイの背中を追う

右肩上がりの成長を遂げるには、トップメーカーであるヤマハ自身が需要を創出しなければならない。

インドネシアの次に狙うのは中国。中間層の拡大は沿岸部から内陸部へと広がっている。数年前の10倍、4億人を自社の潜在顧客と見込む。昨年、上海に世界最大級の4000人収容可能な教室を作ったばかりだ。内陸部に近い2級、3級都市へのディーラー網拡充を加速し、早期に1000店増の2500店舗体制を目指す。ヤマハの“改心”が、音楽を通した中国の情操教育の裾野を広げることは間違いない。

音への回帰を宣言した以上、ヤマハには避けて通れない道がある。創業来、背中を追いかけてきた老舗ピアノメーカー、スタインウェイ・アンド・サンズ(米国)への挑戦だ。

ヤマハの前身、日本楽器製造で創業者の山葉寅楠がピアノを製作したのは1902年。米国を視察した寅楠が、見よう見まねで作った代物だった。作曲家ベートーヴェンの活躍から1世紀も後のこと。すでに欧米では、ピアノ製造において200年の技術の蓄積を有していた。今も世界最高峰のピアノメーカーとして知られるスタインウェイやべーゼンドルファー(オーストリア)は、当時から“老舗”だったのだ。

静岡製造にこだわる理由、100年かけた名門への挑戦

その後数十年間、ヤマハのピアノは酷評を浴び、著名なピアニストには使ってもらえないというジレンマが続いた。100年経った今でも、演奏家が「世界3大ピアノ」を語るとき、そこにヤマハの名はない。

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