ヤマハが“音楽”へ原点復帰 ピアノの頂点、スタインウェイの背中を追う

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それでも、「標準化」は断行された。改装費用のうち3分の1はヤマハの支援だが、日本円に換算して残りの200万~1000万円程度はディーラーの負担になる。看板はすべて新品のものにつけ替え、照明や家具は高級感のあるテイストに統一した。古い楽器を廃棄し、高機能の新製品を投入した。

“広告塔”も置いた。冒頭に登場した巨大ショッピングモール内の教室がそれだ。高額な家賃を承知で、ルイ・ヴィトンなど高級ブランドの近隣に入居した。「多くの教室は住宅街の中にあるため、潜在顧客の目に止まりにくい。買い物に来た親子連れにヤマハを認知してもらえれば」(山田氏)と考えたからだ。

集客力は上がった。フタを開けてみれば、月謝が2倍になったにもかかわらず生徒は3割以上増加した。特に、新しい教室を情操教育の場と認めたプリブミの比率が急増した。

つれて楽器のシェアも上がった。楽器等の売上高は2007年度当時の約2600億ルピア(約27億円)から2010年度(予想)には3800億ルピア(約40億円)と、年率20%台の高成長を記録。教習所に通って初めて乗りこなせる車と同じく、楽器もまた、買ってすぐに使いこなせる消費財ではない。教室の生徒増が、楽器の販売を押し上げたのだ。

本業特化で余力をつけ 新興国市場で攻勢へ

インドネシアでの成功は、ヤマハにとって大きな意味を持つ。それまで苦手としていた新興国市場へ、一歩足を踏み出したからだ。

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