英小学教師が吐露「コロナ禍の学校教育」真の不安 浮き彫りになる対面授業ができないデメリット

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――教室内でのソーシャルディスタンスはどうなっていますか。

現実的には不可能です。それが本当のところです。今は、教室のレイアウトも変更し、机をすべて一方向に向けています。普段はコの字型ですが、今は正面向き。授業によってはグループで机をまとめることもありますが、ロックダウン終了後にそれができるかはわかりません。

クラスに約30人児童がいて、コロナ感染防止に必要な距離を全員に対して保つというのは、単純に無理です。児童と教員の間の距離を作るのが精一杯です。ですから、児童の席と教員の席を離すこと。小学校では、教員が教室を歩き回って、児童のそばに立って指導するのが普通なので、それも避けることですね。

コロナで学業や成績の開きは大きくなる

――今は、どのようなことを望んでいますか。

やはり、子どもたちの精神面、身体面での健康が一番大切です。勉強に追いつくことに関し、プレッシャーをかけないようにしなければ……。もちろん、昨年3月からできなかったことがたくさんあり、ある程度それに追いつく必要はあります。

全員が同じ状況だったなか、裕福な家庭では家庭教師をつけるところも出てくるでしょう。コロナは、経済的に苦しい家庭にいっそう大きな影響を与えています。学業や成績の開きも大きくなるでしょう。広い庭がある家では、子どもたちは屋外で遊ぶ機会も多いですし、コンピューターが複数ある家庭もやはり有利になります。

また、経済格差の有無とは関係なく、保護者が子どものためのオンライン学習に長く時間を費やすことができたかどうかによっても、児童の学力には格差が現れます。英語ができない両親もいる。そういう家庭の子どもは親から学習のサポートを得ることができません。あらゆる面で格差が大きくなっているのが現状です。

政府は生徒間の格差を埋めるよう対策を考える必要がありますが、正直、これがしっかりと狭まるまで2年はかかるでしょう。

取材:越膳こずえ=フロントラインプレス(FrontlinePress)

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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