英小学教師が吐露「コロナ禍の学校教育」真の不安 浮き彫りになる対面授業ができないデメリット

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――ライブ授業がゼロだとしたら、実際に児童が勉強しているかどうか、先生はどうやってチェックするんでしょうか。

リモート自習では出欠も確認しません。その代わり、週1回の電話確認があり、状況は把握できていたと思います。サボっていた児童は、声色や話の内容でわかってしまうんです。

保護者と電話で話すときも、ほとんどの方が正直に話してくれました。「今週はあまり進まなかった」とか「今週は集中していた」とか。もちろん、結局は、自己申告に頼るしか方法はないのですが……。

中学校では、Google ClassroomやMicrosoft Teamsにログインして、用意された教材で自習するところが多いですね。これらのシステムを使うと、教員は実際にどの児童生徒がログインしているかがわかります。もちろん、子どもたちはうまくやりますから、ログインだけして勉強していないとか、プレイステーションをやっているとか(笑)。

うちの小学校では、児童の学習意欲を高めるために、校長表彰などの企画も作りました。これがとても人気で……。校長先生から表彰されるということで、頑張る子どもが多かった。

週1回の電話確認のほかにも、必要に応じてメールや電話でコミュニケーションを取り、賞を取れるよう励ましました。一人ひとりにビデオを撮影してもらい、それを私たち教員が編集してHPに掲載する試みも実現させました。これも好評でした。ライブ授業をしない学校では、学校や友だちとのつながりを保つこと、お互いの顔を見ること、これが大切です。

サラさんが勤務するセント・ニコラス・アット・ウェイド小学校の時間割(出所:同校HP)

授業の中身などHPへの掲載が義務づけられている

――公立学校なのに、しっかりしたHPがあって、授業の中身や教員のプロフィールを含め詳しく掲載されています。少し驚きました。

法的に掲載が義務づけられている内容もあるんです。学校の方針だけでなく、1年間のカリキュラムも掲載する必要があります。資金の使途もです。例えば、体育の授業の機材の購入とか。授業の関係では、教科ごとに具体的な学習内容を記載します。

政府の教育機関監査局も、学校の監査に当たっては、まず、HPをチェックするんです。法的に必要な事項が記載されているか、保護者向けに適正な情報が提供されているか。イギリスの学校にとってHPはとても重要です。

うちの学校もHPに力を入れています。授業で使うリソース(問題集や資料などの教材)を基本とし、その週の目標や具体的な活動の解説を作成し、HPに上げます。ロックダウン中は、多くの教育関連の企業・団体が教育用のコンテンツを無料で提供してくれました。

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