英小学教師が吐露「コロナ禍の学校教育」真の不安 浮き彫りになる対面授業ができないデメリット
――コロナの状況を子どもたちや保護者、教職員はどう受け止めていたのでしょうか。
ロックダウンによる1回目の学校閉鎖(2020年3月中旬~5月末)のときは「珍しいことが起こった」と、楽しんでいる部分も多かったですね。保護者からメンタルヘルスに関する話も出ませんでした。子どもたちは、自宅での勉強に集中できていたと思います。
2回目(2020年12月~2021年3月)では、物珍しさが完全になくなりました。閉鎖期間も長かったため、学業の遅れを心配する声も保護者から上がってきました。保護者自身も(リモートワークのため)自宅で仕事をしなければならない。子どもの勉強を見る時間の確保が難しいという問題もあります。
子どもたち自身はお互いにプレイステーションやゲームを通じて繋がったり、WhatsApp(メッセンジャーアプリ)で連絡を取り合ったりして、新しい形でコミュニケーションを取っていました。
2回目のロックダウンがメンタルヘルスに大きな影響
ただ、保護者からの声を聞く限り、やはり「学校へ戻りたい」「友だちと会いたい」という気持ちがより強くなっていたようです。わが子から直接「寂しい」という言葉を聞いたり、コロナ前より甘えた態度を取ったりするようになったとの話も母親たちから聞いています。
明らかに2回目のロックダウンのほうが子どもたちのメンタルヘルスに大きな影響を及ぼしていました。
――在宅での自習となると、なかなか集中できず、どの児童も勉強に遅れが出たのではないでしょうか?
「遅れを取り戻す」とよく言いますが、要は、それは政府が決めたカリキュラムに対する遅れです。ロックダウンですべての学校が閉鎖されている以上、遅れていない児童など1人もいません。平時に一部児童の遅れを取り戻すのとは、わけが違います。「できなかったこと」ではなく、「できたこと」を評価していくことが必要なんです。
それに、遅れの程度には個人差があります。家庭の事情で学業に集中できなかった児童については、特別な指導や対応が必要になってくるでしょう。学校に戻ることに慣れない児童もいるでしょう。ですから、あらゆる児童に多面的なサポートが必要です。
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