居酒屋の低価格バトル、業界大手ワタミの参入で一段と激化

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 今春までのワタミは、忘年会シーズン限定の「半額チケットバックキャンペーン」を例年より1カ月延長したり、20%割引券の継続配布などの販促策を強化したりと、低価格業態と距離を置いてきた。が、4月の既存店実績も前年比6・9%減。だからこそ、低価格競争にできるだけ早く対応する必要に迫られていた。

苦戦続きの中価格帯 業態転換に活路模索

苦戦を強いられているのはワタミだけではない。客単価3000円前後とされる中価格帯をメインとする業態は軒並みダウンしている。ここには「庄や」「日本海庄や」などの大庄や、「甘太郎」「いろはにほへと」のコロワイド、「旬鮮酒場 天狗」のテンアライド、「ゼスト」「ラ・ボエム」のグローバルダイニングがひしめく。これにワタミを加えた5社が、09年11月に相次いで過去最低水準の既存店売上高となった。

たとえば大庄は、09年9~2月期に創業初の営業赤字を計上した。「この20年間、既存店売上高は前年比3~5%減で推移してきたが、ここまで急な落ち込みは初めて」(水野正嗣常務取締役・管理本部長)と驚きを隠せない。

コロワイドも09年8月から一皿299円均一の「うまいもん酒場 えこひいき」への業態転換を月間10店前後のペースで進めている。転換後には客数が倍増した店舗も出てきた。


 だが、低価格には“低採算”が付きまとう。安易な低価格業態への転換が自らの首を絞めることになりかねない。しゃぶしゃぶ・すき焼き専門店「鍋ぞう」のワンダーテーブルは、08年12月に東京で290円均一の「はら一平」を展開したものの、今年3月に撤退した。「店舗規模が鍋ぞうと同じ60坪のまま、同じ人員を置いてしまった」(小石哲郎取締役)と敗因を説明する。
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