日立、三菱電、海外…大揺れ「鉄道メーカー」総決算

欧州3強は合併で2社に、中国中車は国外苦戦

パソコンのモニターを見つめていると、画面の向こう側からCG画像の列車がやってきて駅に到着。車両からホームに降り立った人物が、「私はマイケル・ピーター。シーメンスモビリティのCEOです」と挨拶した。シーメンスのIR説明会の一幕だ。

シーメンスモビリティが開発する水素エネルギーの電車「ミレオプラスH」のイメージ(画像:Siemens AG)

この列車はシーメンスの鉄道部門、シーメンスモビリティが開発する水素をエネルギー源とする電車「ミレオプラスH」。2024年の試験走行を目指す。水素を燃料に使う電車は、日本でも日立がJR東日本やトヨタ自動車と組んで開発中。こちらは2022年中の実証実験開始を予定しており、タイムスケジュール的には日本のほうが先行している。

しかし、環境への意識は欧州のほうが日本よりもはるかに高い。実用化後は「欧州製」のミレオプラスHの普及が進む可能性がある。

利益率は日立の「目標」上回る

そのシーメンスモビリティの2020年度決算は、売上高が前期比1%増の90億ユーロ(約1兆1900億円)。シーメンスモビリティのカール・ブライムCFOは「世界的なパンデミックにより従来のライバル(アルストムとボンバルディアを指すと思われる)と中国のライバルが売り上げを減らす中、われわれは成長を遂げることができた」と語った。

シーメンスモビリティの高速列車「ヴェラロ」。写真はトルコ向けの車両だ(記者撮影)

調整後の税引前償却前利益は8億ユーロ(約1080億円)。前期から14%減少したとはいえ、売上高利益率は9%という高さである。日立が2025年度の目標としている利益率水準をシーメンスはほぼ達成している。

シーメンスは水素で走る電車のほかにも、IT技術を駆使して車両製造のみならず、電機部品の製造からメンテナンス事業、運行システムに至るまであらゆる分野での成長を目指す。その意味では日立と競合する部分が非常に多い。

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