世界2大鉄道メーカー、小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も

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アルストムの基幹車種である高速列車TGV。合併後も当然残ることになった製品だが、代わりに手放すことになった車種・技術もある(筆者撮影)
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アルストムによるボンバルディアの鉄道部門、ボンバルディア・トランスポーテーションの買収は、欧州委員会(EC)の承認を得たことで順調に進み、2021年1月29日に正式に完了した。買収額は5.5億ユーロ(約711億7500万円)で、これは昨年2月に公表されていた5.8~6.2億ユーロよりはるかに低い額となった。

買収が完了したことで、かつて欧州鉄道メーカーのビッグ3としてしのぎを削った2社は同じ会社となり、70か国で約7万5000人の従業員を抱える巨大企業となった。

弱みを相互補完

アルストムは今回のボンバルディア買収により、それまでお互いが弱いとされていた地域を相互補完でき、商業的に高いアドバンテージを持つことになったと自信を見せる。アルストムは地元フランス以外に、イタリア、スペイン、インド、東南アジア、ブラジルに拠点を確立しており、一方のボンバルディアは英国、ドイツ、北欧、中国、北米の市場を開拓している。両社が合併したことで、これらの地域すべてに商業的基盤を持つことになった。

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両社の合併は、現在世界シェア1位で、近い将来に自分たちの基盤であるヨーロッパや北米市場において脅威となりかねない中国中車(CRRC)への対抗であることはよく知られている。欧州委員会からの承認を得ることができず破談になったものの、2019年に合併寸前まで至ったアルストムとシーメンスの合併話も、裏ではドイツおよびフランス政府の強力なバックアップがあったからこそと言われている。

アルストムとシーメンスの合併が破談となったのは、とりわけ信号システムと高速列車の2つの分野で市場を独占しかねない、という大きな懸念があったためだ。両社はその対応に奔走することとなったが、結局最後まで欧州委員会を納得させるだけの条件を提示することはできず、合併を諦めざるをえなかった。

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