世界2大鉄道メーカー、小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も

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近郊列車用連接車両のボンバルディア「タレント3」とアルストム「コラディア・ポリヴァレント」は、ともに工場ごと他社へ譲渡することを決定しているが、譲渡先としてチェコのシュコダの名前が浮上している。同社は低床連接式車両の技術を獲得することで、ドイツおよびフランス市場へ本格参入したい意向だ。

コラディア・ポリヴァレントは、シュコダに生産工場ごと譲渡する方向で調整を進めており、併せて水素燃料技術の供与も検討されている(筆者撮影)
ボンバルディアの連接式車両タレント3も、工場など生産設備を含めてシュコダと交渉が行われている(筆者撮影)

とくにアルストム・コラディアに関しては欧州で注目を集める水素燃料車両の技術も含まれており、もし実現すればシュコダは次世代型低公害車両メーカーとして一躍名を馳せることになる。水素燃料車両については、アルストムはすでにフランス国鉄と最初の契約を締結しており、技術と工場が譲渡された場合、シュコダがその契約を引き継ぐことになる。

トラム車両も、両社それぞれが製品を保有していたので、いずれこれらも整理されていくことになるだろうが、現時点では具体的な情報は入ってこない。

ベルリンで活躍する現行型モデルのFlexity。新型はアルストムとの契約になるが、車種は同じFlexityがベースになるようだ(筆者撮影)

ただし、2020年12月15日の段階で117編成の新型車両を供給する契約をボンバルディアと交わしていたベルリン交通局は、3月16日にそのデザインを公表したが、外見からはボンバルディアの製品であるFlexityをベースしているようだ。これが同シリーズの最後の契約となるのか、今後も製造が続けられるのかが注目される。

合併でやっかいな問題も

しかし一方で、すでに交わされた契約の中にはややこしい問題が発生している案件もある。パリ市内を走る高速地下鉄RER-B線は、車両老朽化に伴う置き換えを計画しており、2018年に行われた入札で(アルストムとの合併が浮上する前の)ボンバルディアとスペインのCAFによる連合が146編成+最大34編成分の追加オプションという契約を獲得した。

しかしアルストムは、新型コロナの影響による需要の変動を想定した車両導入計画、および購入後の一時的な車両保管に対して柔軟性を求める内容が契約条件に後付けで加えられたことに異議を唱え、入札を実施したフランス国鉄SNCFとパリ交通局RATPを提訴した。

アルストムとしては、いったん受注し製造した車両を需要変動によって一時的に保管しなければならなかったり、製造の途中で仕様が変更されたりする可能性があるのはリスクが高いうえ、ボンバルディアとCAFが提示した金額では十分な柔軟性を確保できず、メーカーがリスクを背負わなければならない、というのが言い分だ。

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