フジ女性アナの異動=アナウンサー失格の勘違い ステマ騒動に絡める矛盾、誹謗中傷はやりすぎだ

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今回の記事に関して、見逃してはいけないのは、女性アナウンサーたちへの誹謗中傷。

たとえば、記事の中心人物である久代アナには、「アナウンス技術がない」「アナウンサーとして限界」「発言が本当にずれていてスタジオのスタッフはシラケている」「見た目でなんとなく取った外れのアナウンサー」「目立った活躍もなく、人気も低く、年下YouTuberと結婚となっては、会社としては単なるお荷物」「ユーチューバーの嫁だもんね」などの心ないコメントが散見されます。

人事異動にまったく関係ないものが多く、プライベートにかかわる侮辱的な内容もあり、久代さんだけでなく周囲の人々も、心を痛めているでしょう。

しかし、「女性アナウンサーは、そんな誹謗中傷を浴びせていい人々なのか」と言えば、答えはもちろんノー。日ごろアナウンサーがバラエティなどで楽しげな姿を見せると、「会社員のくせに調子に乗るな」「タレント気取りの勘違い女」などの批判的な言葉が浴びせられますが、その通り会社員ならこれほどの誹謗中傷はやりすぎでしょう。

また、会社員なら異動は当たり前であり、それを引き合いに誹謗中傷を浴びせることも、まったく筋が通っていないだけに、今後はテレビ局もアナウンサーを守るための策を講じていくはずです。

新人アナ抜擢と女性編成部長の誕生

フジテレビは、7月から今年4月入社の新人アナウンサー4人(小山内鈴奈アナ、小室瑛莉子アナ、竹俣紅アナ、山本賢太アナ)を「Live News イット!」のフィールドキャスターに起用しています。

また、小山内アナ、小室アナ、竹俣アナの女性アナウンサー3人は、8月28日・29日の2夜連続生放送特番「ラフ&ミュージック~歌と笑いの祭典~」で総合司会を務めることも発表されました。

前述した「ステマ騒動で“厳正に対応した”ばかりの女性アナウンサーたちを起用しづらい」という背景があるとしても、松本人志さん、中居正広さん、ナインティナインと共演する局を挙げた特番だけに、異例の大抜擢と言えるでしょう。

アナウンサー以外でも、「キー局で初の女性編成部長が誕生」と中村百合子編成部長の就任が報じられるなど、フジテレビは確実に変わりはじめています。昨春の「視聴率調査リニューアル」と「コロナ禍による減収」という重要課題がある時期だけに、単に女性社員の登用を進めているわけではないでしょう。

社にとって重要な局面での異動は、「活躍できれば今後のキャリアを好転させられる」というチャンス。その意味で、やはり今回異動した女性アナウンサーたちは決して左遷ではなく、活躍が期待できるのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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