フジ女性アナの異動=アナウンサー失格の勘違い ステマ騒動に絡める矛盾、誹謗中傷はやりすぎだ

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今回の4人に、もし「技術不足か問題行動があった」「自ら異動を申し出ていた」としても、公表されることはないでしょう。それよりも有力視されるのは、「知名度や発信力などを生かした活躍が期待されて」の異動であること。

優秀な女性の活用と、役職者や管理職の女性比率アップは、日本企業全般の課題ですが、テレビ局も例外ではありません。むしろフジテレビは第一線で活躍する管理職クラスの女性社員も多く、一般企業の先を行っている感すらあります。今回の人事も、「社の財産である女性アナウンサーたちを有効活用していこう」というスタンスの表明に見えるのです。

周知の通り、アナウンサー採用試験は、美貌だけでは勝ち抜けないほどの超難関。そんな採用試験を突破した優秀な人材であるうえに、入社後は現場経験でアナウンス技術や情報収集力などを身につけ、高い知名度を得た女性アナウンサーたちは、組織にとって“活かすべき人材”にほかなりません。

もしビジネスパーソンのあなたがフジテレビの人事を考えるとしたら……知名度と発信力のある女性アナウンサーを積極的に活用するのではないでしょうか。かつては報道や広報への異動が多かったものの、最近では幅広い部署に広がっていることから、テレビ局が女性アナウンサーの持つスキルや可能性を生かそうとしていることは間違いなさそうです。

異動は「アナウンサー失格」ではない

一方の女性アナウンサー自身も、ただ異動に怯えたり、不満を漏らしたりしているとは限りません。彼女たちにとってはキャリアの途中であり、人事異動はこれまで培ってきた強みを生かしつつ、新たな可能性を広げるチャンス。

もともと女性アナウンサーは、「自分はタレントではなく、ただの会社員」という意識の人がほとんどのため、異動を「アナウンサー失格」というより、「ステップアップやスキルアップの機会」と受け止められる人も少なくないようです。

また、アナウンス室を離れたあとに、新たな部署で活躍し、会社に貢献している尊敬すべき先輩たちの姿を見ていることも大きいでしょう。筆者自身、フジテレビ社内で吉崎典子さん、木幡美子さん、春日由美さんら、かつての人気アナを見かけたことがありますが、生き生きとした姿で働いているように見えました。

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