「20代、30代の頃は、生活をしていれば、自然に恋愛できる相手に出会えた。ところが、40歳を過ぎてからというもの、出会いがほとんどなくなった。私は、アロマを扱うお店で働いているんですが、年収は270万円ほど。お給料が上がる見込みもなかったし、1人で歳をとっていくことに不安を感じて、50歳になったときに、思い切って結婚相談所に入ったんです」
しかし、50代での婚活は、想像以上に厳しかった。
「驚いたのは、50代でも60代でもお子さんを望んでいる男性が、多いことでした。そうした人たちは、当然子どもが産める年齢の女性を希望していたので、私はターゲット外でした」
そこで、初婚者でも子どもを望んでいない男性、子どもがすでに社会人になって独立している再婚者をお見合いの候補者とした。50歳から63歳くらいまで、2年間で30人近くお見合いをしたという。
「2人ほど真剣交際に入った方がいたんです。1人は、年収900万円のバツイチ、57歳の男性でした。お子さんは、27歳と25歳で、2人とも独立していました。条件は申し分なかったのですが、ものすごくこだわりが強くて、クリーニング店はどこに出す、食材はここのお店で買うと決めていて、下着やシャツのたたみ方にまで、彼のルールがあったんです。一度彼の家にお邪魔したときに、簡単な手料理を作ろうと、私の家の近所のスーパーで食材を買って持っていったんですね。そうしたら、『どこのスーパーで買ってきたの? ああ、あそこは食品の管理がずさんなんだよ。あそこのスーパーの食材は、今後は買わないほうがいいよ』と言われて。この人と結婚したら、すべて彼のルールの中で生活しないといけないと思ったら、ものすごく窮屈に感じて、その後に、“交際終了“を出しました」
2人目の真剣交際に入った相手は、プロフィールに年収1200万円と書かれていた自営業者(63歳、当時)だった。
「ベンツに乗って、ブランドもののスーツを着て、一見すごく羽振りがよさそうでした。ところが、結婚の話を詰めていったら、7000万円の借金があるというんです。そんなに借金があるなら、ガゾリン代や車税の高いベンツになんて乗らなければいいのに、見えっ張りで手放せない。私に経済力があるわけではないし、63歳で7000万円もの借金がある男性と結婚して生活していく自信が持てなかったので、交際終了を出しました」
年の近い「普通の好条件男性」と結婚したが…
紆余曲折ありながら、出会ったのが元夫の浩(仮名)だった。彼は初婚だったが、子どもはいらない人だった。
「ごく普通のサラリーマンで、年収は600万円。ご両親がすでに亡くなっていて、10年前に買ったという分譲マンションに住んでいました。『それまで自分で貯めたお金と親の遺産とで5000万円の貯金がある』と言っていました。年齢も1つ上で、結婚するには好条件。出会って1カ月後には真剣交際に入り、そこから1カ月後に婚約しました」
ところが、婚約後に家計の話をしたときに、浩からきっぱりと言われた。
「僕が求めているのは、人生のパートナーだから、淑恵ちゃんとは、イーブンな立場で結婚生活を送りたい。マンションのローンと家の水道光熱費は僕が払うけど、食費と雑費で家に入れるのは、4万円にさせてね。足りない分は、淑恵ちゃんが働いたお金で、賄ってほしい」
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