国安法施行1年、レッドライン見えず広がる不安 外国企業は撤退、香港住民は米加への移住探る

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香港への統制を強める「香港国家安全維持法(国安法)」の施行から30日で1年を迎えた。同法によって中国政府主導の香港統治がさらに鮮明となっており、1つの法律の枠をはるかに超えた影響が及んでいる。

公での議論もなく即時施行された国安法は、一貫した法の適用で知られてきた香港の政治的・法的な環境をがらりと変えた。学校のカリキュラムに「全民国家安全教育日」が新たに設けられたほか、映画が検閲対象となり、一部被告には陪審裁判の権利を認めないなど国安法が幅広く適用され、多くの香港住民は中国の新たなレッドライン(越えてはならない一線)がどこにあるのかと推測するしかない状況だ。

中国への返還記念式典で香港国家安全維持法の看板を前に行進する関係者(2020年7月1日)

在香港の米企業、4割超が撤退を検討

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、国安法が「違法・犯罪行為を働いた極めて少数の者だけを対象にしている」と説明するが、民主派支持の蘋果日報(アップル・デーリー)が発行停止に追い込まれ、かつては目にすることも多かった抗議活動のスローガンも見られなくなっており、こうした一変した状況で説得力は乏しくなっている。

何万人もの香港住民がカナダや英国への移住を探っている。また、在香港の米商工会議所による先月の調査では、会員企業の40%超が香港を離れることを検討しているのが分かった。

在香港の米企業、4割超が撤退を検討-国安法やコロナ対策が理由

香港の元大学教授(政治学)で、オーストラリアに移住した鄭宇碩氏は「1年前、私の民主活動家の友人の多くが香港にとどまって闘争を続ける決意だった」としながらも、「今ではできることはそれほどないと大半が悟っている」と語った。

原題:How China’s Security Law Changed Hong Kong Forever in 12 Months(抜粋)

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著者:Iain Marlow

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