ソファーで寝る女性から見えた認知症ケアの課題 2025年には高齢者の約5人に1人がなると推計

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認知症は高齢者のものとイメージされることが多いが、若者にとっても決して他人事ではない。(写真:pixabay)
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厚生労働省によれば、65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は2020年現在で約600万人。今後の推計では2025年には高齢者の約5人に1人にあたる約700万人が認知症になるとされている。

認知症は加齢に伴ってリスクが上昇することから高齢者のものとイメージされることが多いが、若者にとっても決して他人事ではない。それはたとえば家族が将来的に認知症になるかもしれない可能性や、その介護を担う可能性が十分にあるからだ。

認知症とそのケアについて、高齢者福祉事業などを展開する社会福祉法人福祥福祉会の理事長、阿久根賢一さんに話を聞いた。

<阿久根 賢一さん>
1976年生まれ。大学では、社会福祉を専攻し、卒業後、高齢者施設にてソーシャルワーカーとして勤務。2002年より社会福祉法人福祥福祉会が開設する特別養護老人ホーム豊泉家北緑丘の立ち上げよりソーシャルワーカーとして参画。その後、施設長、運営本部長、副理事長を経て2017年より社会福祉法人福祥福祉会 理事長。
取得資格:社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員
その他:社会福祉法人 天森誠和会 理事・一般社団法人 日本棒サッカー協会 理事長・青森大学 客員教授 等

そもそも「認知症」とはなにか

認知症は、脳の器質的な変化によって引き起こされるさまざまな病気や症状の総称を指す。認知機能が低下することで「ものを忘れてしまう、覚えることができない、言動に支障をきたす」など、日常生活の色々な場面に影響が出てくる。

https://journal.ridilover.jp/issues/500?journal_user=journal_user_3691&journal_token=20200318134226P5qtOfamzjWgkEvnKY
当記事は「リディラバジャーナル」からの転載です(元記事はこちら)。同サイトは有料会員制メディアです。リディラバの考え方はこちらをご覧ください。

このような記憶・認知の障害など、根本的な症状としてあらわれるものを「中核症状」と呼ぶ。認知症と聞いて思い浮かぶイメージは多くの場合この「中核症状」だが、そのほかにも「周辺症状」とよばれるものがある。

「周辺症状」とは「中核症状」を原因としてあらわれる症状。BPSD(Behavioral and psychological symptoms of dementia=行動・心理症状)とも呼ばれ、物事の理解が難しくなることで不安や抑うつ状態になったり、状況を正しく判断する能力が低下することで暴力的になったりという症状が起こる。

認知症介護が介護者に負担を強いるのは、その多くが周辺症状のためだと言われている。

たとえば、介護をしている中で徘徊が起こった場合、本人を探したり、警察に相談したりといったことが必要になるケースもある。また、怒りっぽくなったり暴力を振るわれたりすれば、当然心身ともに大きな負担になる。

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