君は日比谷線の新型車両を知っているか 東京メトロと東武鉄道が2016年度から導入

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日比谷線には、ホームがカーブしている駅もいくつかあるが、最も急な六本木駅と恵比寿駅のホームは、半径300メートルのカーブにある。

現状の「18メートル車」でも、ホームとドアの間には大きな隙間と段差ができる

実は、これは20メートル車10両編成が発着するJR飯田橋駅とほぼ同じ。運行には問題ないが、車両中央のドアとホームの隙間は従来より広がる。ただし、ホームドアが導入されると、ドアが開いた瞬間、目の前に「大きな隙間」が現れることになるので、何らかの対策は必要になるだろう。

ところで、日比谷線にホームドアを設置するのが第一の目的なら、必ずしも20メートル車を導入する必要はない。現在と同じ18メートル車で、ドアの位置を揃えれば済むはずだ。5ドア車の廃止についても、東京メトロは乗降に影響は少ないとするが、日比谷線はホームの両端に出口がある駅が多く、編成両端に5ドア車を配置することは、今も十分メリットがある。18メートル車のまま、全編成に5ドア車を連結してドア位置を揃えるという選択肢もあったはずだ。

そのカギは、日比谷線が南栗橋まで乗り入れる東武スカイツリーラインにある。

混雑対策から、安全対策へ

東武スカイツリーラインから乗り入れる、東武20000系電車。日比谷線にはホームがカーブにある駅が多く、新型車両導入のハードルとなる(上野駅)

東武スカイツリーラインは、東武鉄道の自社車両のほか、東京メトロ日比谷線、半蔵門線、東急田園都市線と様々な路線の車両が混在している路線だ。18メートル車と20メートル車、特急用の1ドア車から東急田園都市線からの6ドア車まで、あらゆるドア数の車両が乗り入れ、乗車位置が複雑なうえにホームドアの導入の障害となっている。

東武鉄道は、スカイツリーラインへのホームドア導入について、「日比谷線直通車両の20メートル化を踏まえて検討を開始したい」(東武鉄道広報)と述べるにとどまる。だが、日比谷線直通電車が20メートル4ドア車に統一されれば、複々線である北千住〜北越谷間の緩行線にはホームドアの導入が可能になるはずだ。

1980年代から90年代にかけて、当時の営団地下鉄は5ドア車の導入によって混雑緩和へきめの細かいサービスを提供したが、今は国からの指導もあり、安全性を高めるホームドアの導入を第一に考える時代に変わっている。混雑対策から、安全対策へ。20メートル4ドア車の導入には、都市鉄道への考え方の変化が現れている。

栗原 景 ジャーナリスト

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くりはら・かげり / Kageri Kurihara

1971年東京生まれ。出版社勤務を経て2001年独立。旅と鉄道、韓国をテーマに取材・執筆。著書に『新幹線の車窓から~東海道新幹線編』(メディアファクトリー)、『国鉄時代の貨物列車を知ろう』(実業之日本社)等。

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