さよならオデッセイ!時代を作った花形の終焉 ジャンルを確立するも25年で役割りを果たす

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新たなミニバンスタイルを提案した3代目オデッセイだったが、販売台数ランキングでは2004年の7位を頂点にして順位を下げるばかりに。また、キープコンセプトで登場した第4世代も、ヒットには見舞われなかった。

3代目で実現した底床プラットフォームを継承した4代目オデッセイ(写真:本田技研工業)

現行型となる第5世代では「背の低い」「5ドア」という個性を捨て、背の高い&スライドドアのミニバンへと変化。ホンダのエリシオンが生産終了となったこともあり、その役割をオデッセイが引き継ぐことも、狙いだったのだろう。

しかし、一度、失った勢いを取り戻すのは難しかった。結局、オデッセイの販売は上向きにならず、「2020年末をもって生産終了」という結末となったのだ。

オデッセイを振り返ってみたとき、このクルマが果たした役割は何だったのだろうか。個人的に思うのは、オデッセイに一貫する「商用車ではないミニバン」というイメージの重要さだ。

それでもオデッセイの功績は大きい

1990年代に残っていた「ミニバン=ワンボックスカー=商用車」というイメージを、オデッセイがくつがえすきっかけになったのではないかと思う。背の低い5ドアの3列シート車であるオデッセイのヒットにより、ストリームやウィッシュなど、各社から数多くのフォロワーが誕生した。これらがミニバンの印象を商用バンから遠ざけたのだ。

また、イプサムやステップワゴン、ノア/ヴォクシーなど、初めから乗用車として開発されたライバルたちも続々と登場したのも、ミニバンが身近になった理由のひとつだろう。

そもそものきっかけはエスティマのヒットだが、それを違う路線からオデッセイが追いかけたことで、ミニバンのバリエーションが豊富になり、そして商用バンの印象が薄まった。これこそが、オデッセイ最大の自動車市場への貢献だろう。

そして、ミニバンから商用バン派生の印象が消え失せるにつれ、オデッセイへのニーズが下がっていった。それがオデッセイのモデルライフだったのだ。ミニバンが今のように身近になることに、オデッセイは大きく貢献したのだ。まさに歴史に名を残す名車のひとつと言える。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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