「頑張ることをモットーにする人」が陥る3つの罠 89歳のシスターが伝える「不安を消すヒント」

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Iさんという女性のお話をしたいと思います。Iさんは、次のように胸中を明かしてくれました。

「45歳になってさまざまな不調に悩まされるようになり、婦人科に行くと更年期障害と診断されました。大きな病気ではないとわかったので安心しました。でも、精神的にしんどい毎日が続いています。子どもたちも自立し、そろそろ私も楽になれる時期のはずなのに、なぜこんなに重苦しいのか。恨みつらみが増えて、さらにはそんな自分がイヤになり……という悪循環に陥っています」

こういった悩みは、Iさんに限らず、多くの中高年女性から相談されます。女性にとって一番生きるのがつらい時期というのがあります。それは、更年期障害になる前の38歳ごろからの10年間で、その人の価値観などが大きく変わる時期なのです。その「真っ暗なトンネル」のような苦しい10年間では、肉体面での変化ももちろん気になりますが、それは最初だけです。それよりも、その年齢になって初めて見えてくる人生の景色をめいっぱい満喫するほうが賢いとはいえないでしょうか。この「真っ暗なトンネル」を越えると、皆さんは今までのことがまるでうそのように悩みから卒業していかれます。

このような話をIさんにしたところ、「自分はまだ長いトンネルの中にいる。でも、トンネルには必ず終わりがあると知って安心した」と喜んでくれました。

自分の力では変えられないことを「あきらめる」

Iさんとは事情は違えど、今まさにコロナ禍という先行きの不透明な「真っ暗なトンネル」の中で苦しんでいる人は少なくありません。

「聖なるあきらめ」の第一歩は、現状を把握するために「あきらめる(明らめる)」ことから始めます。すると、物事には「自分の力で変えられること」と「自分の力では変えられないこと」との2つがあるのだとわかります。

自分で変えられることを見つけたら、さっそく変えてみてください。一方で、変えられないことを無理に変えようと執着すると、自分も周囲の人も疲れてしまいます。自分で変えられないことは「あきらめて(諦めて)」みましょう。

「諦められない」は、執着の心から生まれます。「あの時ああすればよかった」「こうすべきだった」などと自分を責めながら、過去の時間の中で生きることです。あるいは、まだ来てもいない未来を先取りし、「こんなことが起こったらどうしよう」と、はてしなく悩み続けることです。

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