奇才が引き出す技術力 “夢の糖”トレハロース《戦うNo.1技術》
1883年に水あめ製造で創業した林原は、糖質研究を柱にグループ売上高807億円(2009年度)を誇る。採用はほぼ縁故で岡山県人ばかり。一見すると野放図なオーナー企業だが、当の林原社長が研究を重視し、会社を現在の姿へと再建させた。
父の急死で慶応大学法学部在学中、19歳で急きょ社長に就任。その後糖化学を独学した。水あめやブドウ糖の価格下落による経営難の中、糖質研究重視へ経営の舵を切り、赤字から脱出した。トレハロース以外にもがん治療薬「インターフェロン」の量産化に成功、バイオ企業へと変貌を遂げた。
研究開発に売上高の15%を充てるが、その方針は極めて独創的だ。
研究開発重視といえども地方の一企業、人材も一流大卒ばかりではない。トレハロース量産化に必要な酵素を発見した丸田和彦研究員も学歴は専門学校卒だ。林原の社員はみな「ほかと違うことをせえ、と言われる」と口をそろえる。こうした環境下で他と差別化し生き残るため、あえてニーズを考えず、競合のない製品をつくり出すことに命を懸ける。
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