日本人がほぼ知らない「格安保険」の最新トレンド テスラの自動車保険はなぜ「7割」で済むのか

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生命保険、オンラインによるサービス提供がもともとはメインでしたが、次第にオフラインのサービスにも進出し、メディカルドクターの派遣や遠隔診療といった医療サービスも提供。さらに生命保険にとどまることなく、健康保険、年金保険、損保保険にサービスを拡大。現在は、銀行、投資、決済といった包括的な金融サービスを提供する巨大なピンアングループとして、存在感を示しています。

ここまで急成長できた理由は、データを活用したからにほかなりません。これまでは保険に申し込む際、病歴や現在の健康状態など、事細かく書類に記入し、提出する必要がありました。場合によっては、新たに健康診断を受ける必要がある商品もあるでしょう。

一方、ピンアン保険ではこのような煩雑な手続きは一切ありません。スマートフォンでちょっとした入力を行うだけで、膨大なデータに基づき、保険の審査をAIが瞬時に判断。是非を、すぐに表示します。

住友生命保険もデータ活用したサービスを提供

住友生命保険が提供している「Vitality(バイタリティ)プログラム」も、ピンアン保険やアップル保険が提供しているサービスと近い、保険のデータ活用という観点から大いに参考になります。

バイタリティプログラムでは、利用者の健康状態や運動の状況により、4つのステータスに選別。ステータスに応じ、保険料が上下します。

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住友生命保険では2019年からスタートしていますが、バイタリティプログラムの仕組みは、かなり以前からあります。南アフリカの金融サービス会社、ディスカバリーが1994年に「Discovery Vitality」として生み出したのが起源です。その後アメリカのボストンにあるジョン・ハンコックという保険会社が採用。ようやく日本にも入ってきた、という流れです。

住友生命保険はプロモーションにタレントのバナナマンさんを採用していますが、運動することでメタボを解消し、健康になる。さらに、保険料も安くなる。そのようなサービスであることを打ち出しているのでしょう。

まさにそのとおりだと思います。バイタリティプログラムは、利用者、保険会社両方にとってメリットの大きいサービスですから、お互いウィン─ウィンになるのです。こういった経済学的に意義のあるデータを活用した同様のサービスは、次々と出てきてほしいと願っています。

山本 康正 ベンチャー投資家、京都大学経営管理大学院客員教授

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やまもと やすまさ / Yasumasa Yamamoto

東京大学で修士号取得後、NYの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得し、グーグルに入社。フィンテックやAI(人工知能)などで日本企業のデジタル活用を推進し、テクノロジーの知見を身につける。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム「US-Japan Leadership Program」諮問機関委員。京都大学経営管理大学院客員教授。日本経済新聞電子版でコラムを連載。著書に、『シリコンバレーのVCは何を見ているのか』(東洋経済新報社)、『世界最高峰の研究者たちが予測する未来』(SBクリエイティブ)、『アフターChatGPT』(PHP研究所)、『テックジャイアントと地政学』(日本経済新聞出版)など。

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