アマゾンと並ぶ「巨大銀行」へ向かうアントの威力 銀行業界を飲み込む"もうひとつの強大な力"

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アマゾンと並んで「2大巨大銀行」になると注目されている「アント・グループ(旧:アント・フィナンシャル)」をご存じでしょうか?(写真は2018年、xcarrot_007/iStock)
アマゾンが金融業界に参入し「アマゾン銀行」をつくるという話は聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、そのアマゾンと並んで「2大巨大銀行」になると注目されている「アント」という企業を知っている人は日本では少ないかもしれません。
銀行を淘汰する破壊的企業』の著者であり、金融ビジネスとテクノロジーをつなぐベンチャー投資家である山本康正氏は「アマゾンとアントが今後の金融、はたまたわれわれの生活そのものを変えるでしょう」と言います。いったいどういうことか、語っていただきました。

世界最速で金融のデジタル化を推進する中国企業

アントは、中国企業です。もともとはアリババグループのEC、金融関連の事業ならびにテクノロジーまわりを開発していた、いわゆる社内ベンチャーのような位置づけでした。

アリババのECサイトが急激に拡大したことを受け、新たなサービスを開発。そうして生まれたのが、QRコードで簡便に決済ができるアリペイです。

アリペイはアリババのECサイトに限らず、屋台での決済など、中国の人々の暮らしのあらゆる決済シーンに普及していきました。その結果、社会全体のエコシステムとして広めようとの機運が高まります。

こうして「アント・グループ」として派生し、さらなる成長を続け現在に至ります。社内ベンチャーをスピンアウト(分離独立)して成功した事例です。アリババグループはほかにも同様の社内ベンチャーを持っています。

アントの特徴は、やはりアリババグループであり多くの販路を最初から持っていることです。もう1つ、中国企業であることも重要な成長ポイントです。

アリババはアリペイ以外、資産運用、ローン、保険など、多くの金融サービスを手がけていますが、グループ企業のアントは、これらの事業をアリペイで集めたキャッシュならびに、同じくアリババグループのECサービスなどで得たデータとひも付け、最大限活用しているからです。プライバシーの問題が出てこないことは中国ならではです。

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