アマゾンと並ぶ「巨大銀行」へ向かうアントの威力 銀行業界を飲み込む"もうひとつの強大な力"
つまり、米ドルのデジタル通貨はアマゾンやマイクロソフトなどが。デジタル人民元はアント(アリババ)が。このようなデジタル通貨の二大巨頭が、これから先のデジタル通貨業界をリードしていく可能性があるのです。
GAFAも虎視眈々と金融業界を狙う
一方、GAFAも金融業界への参入を虎視眈々と狙っています。
グーグルは金融サービスで得たデータを活用することで、業績を伸ばすようなこともしっかりと考えていると思います。というのも、グーグルの利益の大半は広告収入です。グーグルの広告ビジネスの仕組みは、ご存じの方も多いと思いますが、広告を掲載したら○○万円というシステムだけではなく、クリックされて初めて課金される広告が多いです。
そのためどのユーザーにどのような広告を出すかが、ビジネスでの肝となっています。選定のアルゴリズムに金融データが加わることで、よりユーザーにマッチした広告に高まる可能性が強いからです。
富裕層であることがわかったユーザーには、高額の商材を広告する、といったロジックです。もちろんその逆、一般的な収入の人に対しても同ロジックは使えます。
仮にこのような新たなアルゴリズムにより、クリック率が1%から2%に増えただけでも、利益はシンプルに考えれば倍近くになります。そして、グーグルの広告収入は莫大ですから、いかに大きく業績を伸ばすかは明白です。
フェイスブックは、さまざまあるSNSの中でとくに最近話題になっている音声SNS、クラブハウスなどにフェイスブックユーザーが流出しないために、ユーザーがフェイスブック内で多様なサービスが受けられるようにする。その1つとして、金融サービスを提供していくとの考えです。
ここはグーグルと共通した思惑がありそうです。フェイスブックも広告収入がかなりのボリュームを占めています。つまり、できるだけ多くのユーザーに使ってもらうために、その施策の1つとして、手数料無料の金融サービスを提供していくと私はみています。
一方で、手数料無料の内容とは相反しますが、手数料無料ではない金融サービスも視野に入れているのではないか、とも思っています。フェイスブックが構想を主導するデジタル通貨・ディエム(旧・リブラ)による法人間の海外送金です。
メッセンジャーを使った送金はあくまで個人間に限られているサービスであり、こちらにおいては従来どおり、無料でサービスを続けていくでしょう。
一方で、ディエムの運用が正式に始まった際には、オンラインで事業を展開する法人向けの国際送金事業に参入するのではないか。そして、現在の海外送金サービス、「Wise(ワイズ)」(TransferWise が2021年2月に社名・サービス名を変更)のようなサービスよりもはるかに安い金額(手数料)で提供しよう、そのような戦略です。
法人の国際送金は金額の規模が大きいですから、次のビジネスの柱になる。そのようなことまで考えてディエムを開発している可能性は大いにあるでしょう。ただしディエムは詳しい内容が公開されていませんから、同サービスも含めフェイスブックならびにディエムの動きについては、これからも注視していく必要があります。
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