「中国は敵、米国は味方」の認識があまりに浅い訳 自民党の異端議員が説く中国と正対する方法

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――どういう疑問でしょうか。

アメリカと中国の対立を前提にした議論に傾いていないか。あるいは中国や韓国といった特定の国々を批判せんがための議論になっていないか、ということだ。そのことで経済安保という極めて重要な議論が、本質から遠ざかっていく気がしている。

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中国が対外的に覇権主義を強めているのは否定しがたい事実だろう。国内向けにも、2017年には国家情報法を成立させ民間企業や個人に対して国家の諜報活動を支持し、協力するよう義務づけた。こうしたやり方には首を傾げざるをえない。

先のG7サミット(主要7カ国首脳会議)が中国の「一帯一路」に対抗する形で新興国のインフラ構築を支援することにしたのも、力によって現在の秩序変更を迫ろうとする中国を牽制するためだ。世界でなぜこうした動きが起きるのか、中国はただ反発するだけではなく、内省してほしい。

中国の動きに注視せざるをえない一方で、大切なのは私たち日本人の姿勢だ。政府も自民党も多くのマスコミの論調も「アメリカは味方」「中国は敵」といった、情緒的で単純な認識しか持てていないのではないか。本当にその捉え方でいいのか。

日米半導体摩擦の記憶と類似点

経済安保で重大テーマの1つになっている半導体については、日本人にとって忘れてはならない歴史がある。1980年代の日米半導体摩擦だ。優れた技術を持つ日本半導体メーカーとの競争に苦慮していたアメリカ政府やアメリカ半導体メーカーは、日本の産業政策に矛先を向け、関連する訴訟まで起こしてきた。

当時のアメリカの考え方というのは、日本の半導体がアメリカに進出するとアメリカのハイテク産業、防衛産業の基礎を脅かし、安全保障の問題に直結するというものだった。現在の中国を矛先にした安保論と、どこか似ていることに気づく。

自由、民主主義という大切な価値観を世界に広めてきたアメリカだが、自分たちの覇権を脅かすような動きが起きると一転して抑えにかかろうとする。そんな側面があることを私たちは知っておく必要がある。

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