「中国は敵、米国は味方」の認識があまりに浅い訳 自民党の異端議員が説く中国と正対する方法

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――では、中国とはどのように対峙していけばいいでしょうか。

難しい問題だ。日本にとっては今世紀最大の難題かもしれない。現代中国のエネルギーの源泉は何か。深層心理には何があるのか。私たちはもっと知らなければならないのではないか。

古川禎久(ふるかわよしひさ)自民党・衆議院議員 1965年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。2回の落選を経て2003年に初当選。自民党青年局長、財務副大臣、財務金融委員長などを歴任。現在は、北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員長。当選6回(記者撮影) 

中国は発明とイノベーションを繰り返してきた国だ。世界の3大発明品である火薬、羅針盤、活版印刷はいずれも中国で生まれ、世界のシステムを作り替えてきた。火薬は戦争の形を大きく変えたし、羅針盤によって航海の距離は格段に広がった。羅針盤は現代でいうところのGPS(全地球測位システム)ともいえる。活版印刷は通貨を貨幣から紙幣に変えた、いわば通貨革命を起こしたわけで、この発想は現代のデジタル人民元につながっている。

優れた文明を築いてきた中国にとって、この数世紀は屈辱の時代だった。アヘン戦争に象徴されるように西洋列強に蹂躙されてきた歴史だからだ。21世紀に入り、屈辱の歴史を挽回するのだという民族的パッションがほとばしっているのが現代の中国といえるのではないか。そのパッション自体おかしいことだとは、私は思わない。

大局的に世界史、人類史をみると、今は明らかに歴史の転換点にある。パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)の時代は終わりかけ、同時に、文明の軸が西から東へと動いている。

ぶつかっているのは価値観というより利害

――価値観と価値観がぶつかっているともいわれます。

必ずしも私はそうは思わない。米ソ冷戦時代のようなイデオロギー対立ではないし、宗教対立でもない。互いの国益と国益をかけた覇権の争いだ。ぶつかり合っているのは価値観というよりは利害だろう。

ここで日本人が注意して見ておきたいのは、利害対立というのは利害が一致すれば収まるということだ。テーブルの上では殴り合いをしつつ、テーブルの下では堅く握手しているなんてこともありえる。だから「米中デカップリングの時代がきた」という危機感の下で「日米同盟を強化して中国に立ち向かわなければならない」という方向に日本が突き進んでいくのは、私は危ういと思っている。

――日本にはどういう姿勢が求められるでしょうか。

中国のやり方が気にくわないからといって、売り言葉に買い言葉で、感情的に対立しても仕方がない。まずはアメリカとも中国とも一定の距離を持ち、米中対立に巻き込まれないような道を模索すべきだ。現に東南アジア諸国の中には、中国の覇権主義に脅えながらも、だからといって米中対立には巻き込まれたくないと考えている国のほうが多い。

そのうえで私は中国と「覇権主義は破滅を招く」という、日本だからこそわかる価値観を共有したいと思っている。

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