サンドラッグ「実力派会長」の電撃辞任に映る焦燥 「業界の天才」が築いた利益重視経営から転換へ

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「立地や客層によって店舗の内装や取扱商品を変えたり、店舗運営の効率化を図ってローコスト経営を追求したりと、今のドラッグストアのビジネスモデルを作り上げた。彼は『ドラッグ業界の天才』だと思う」

ドラッグストア営業を担当していた化粧品メーカーの元社員は、才津氏の実績をそう絶賛する。創業者の多田氏もその商才を認めており、「(サンドラッグの)株は渡さないけれど、会社(の経営権)はやる」と才津氏に伝えたとされる。

その功労者がなぜ、突然辞任したのだろうか。業界関係者の見方はおおむね一致する。「現在、取締役にいる『創業家の2人』と才津さんとの関係が冷え込んだのだろう」。

サンドラッグは株式の4割を創業家が保有するオーナー企業だ。創業家の2人とは、創業者の多田幸正氏の息子である直樹氏と高志氏。両名ともかつてサンドラッグを一度退社しているが、その後再度入社。高志氏は2017年に取締役に、直樹氏は2019年に取締役管理本部長に就任している。

ただ、サンドラッグは「(才津氏と創業家との関係が冷え込んだということは)まったくございません」と完全否定する。

規模拡大を取るか、利益率を取るか

業界5番手のスギホールディングス。4番手・サンドラッグとの差はわずかだ(記者撮影)

一方、サンドラッグの業績に目を転じると、足元でも右肩上がりが続いているとはいえ、伸び幅は他社に見劣りする。才津氏の築いてきた「勝ちパターン」にも限界が見えてきた。

実際、2013年度に業界2位だった売上高は、2020年度には4位に転落。さらに「スギ薬局」やディスカウントストアの「ジャパン」などを展開する業界5位のスギホールディングスとの差も、わずか300億円となっている。2009年にダイレックスを子会社化した後は大型買収がなかったことや、ここ数年出店数で競合に後れをとっていたのが要因だ。

現在のドラッグストア大手は、規模拡大を優先するか利益率を重視するかで、戦略の違いが浮き彫りになっている。売上高で業界最大手のウエルシアホールディングスや2番手のツルハホールディングスは、売り上げ拡大を狙ったM&Aや積極出店を続けている。

他方のサンドラッグは、才津氏が土台を作った利益率重視の路線をこれまで維持。出店を急がずに営業利益をしっかり確保する戦略を採ってきた。2020年度のサンドラッグの営業利益率は5.9%で、4%から5%台前半のウエルシアやツルハを上回り業界最高水準だ。

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