カマラ・ハリス氏が銀行相手に激論した一部始終 「まるで犬の喧嘩」とハリス氏が記した対話
「先週、協議の進展を願ってワシントンDCに行きました」と、私は記した。「しかしそこで明らかになったのは、カリフォルニア州が、許容できる以上の請求権を放棄し、適切な捜査が行われていない状況を許容するよう要求されているということでした。熟慮を重ね、これはわが州の住宅所有者が待ち望んでいることではないとの結論に達しました」
あらゆる方向からのプレッシャー
私のもとには次々と電話がかかってくるようになった。強すぎる相手を敵に回したのではないかと心配する友達。銀行は何千万ドルかけてでも私を辞職に追いやろうとするだろうから覚悟しておくよう警告する政治コンサルタント。そしてカリフォルニア州知事──「自分のしていることがわかっているのかね」。協議に引き戻そうとするホワイトハウス高官や閣僚。プレッシャーは強烈で、絶え間なく続いた。しかもあらゆる方向──長年の協力者、長年の敵、その中間のすべての人たち──からだ。
一方で別のプレッシャーもあった。活動家や支援団体が私たちに歩調を合わせるかのように行動を起こしはじめ、数百万の住宅所有者とともに声をあげるようになっていた。孤独な闘いではなかったのだ。
そうはいっても、このころはたいへんだった。私は寝る前にはいつも、短く祈りを捧げた。「神よ、どうか私に正しいことを行う力をお貸しください」。自分の選ぶ道が正しく、最後までやり遂げられる勇気をもてますようにと祈った。とりわけ、私を頼りにしている多くの家族が安全に不安なく過ごせますようにと。彼らの生活がどれだけ危機に瀕しているかをよく知っていたからだ。
私はしばしば母のことを思い出し、母ならどうしていただろうかと考えた。きっと、信念をもちつづけなさい、自分の直感に従いなさいと言ったと思う。難しい決断の難しさはまさに、それがどんな結果をもたらすかがはっきりしないことにある。しかし、選んだ道が正解かどうかは直感が教えてくれるだろう。その直感に従えば、どんな決断をすべきかはおのずと見えてくるはずだ。
同じころ、デラウェア州司法長官のボー・バイデン(訳注/ジョー・バイデン現大統領の長男。2015年脳腫瘍により46歳で死去)というすばらしい友人、同志ができた。銀行はボーの支持基盤であり、デラウェア州はほかの州ほど差し押さえ危機の被害は大きくなかった。見方によっては、ボーは何も言わずに銀行側の要請に従ったとしても不思議はない。しかし、ボーはそんな人物ではなかった。信念と勇気の人だった。
ボーは当初から一貫して和解案に反対していた。私が主張したのと同じ点を徹底的に批判していた──補償金が不十分なこと、詐欺の捜査がなされていないこと。そして彼も証言と文書を要求していた。そもそも銀行が、差し押さえようとしている家の抵当権を保有しているのか、しているなら、その証拠を出すよう訴えていたのだ。
しかもボーは一歩も譲らなかった。彼もやはり独自の捜査を開始していたので、私たちは明らかになった情報を積極的に共有した。私が圧力をかけられたときも、ボーとは毎日、ときには一日に何度も話をした。私たちは互いに支え合っていた。
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