カマラ・ハリス氏が銀行相手に激論した一部始終 「まるで犬の喧嘩」とハリス氏が記した対話
ほかにもすばらしい盟友がいた。マサチューセッツ州司法長官マーサ・コークリーは、タフで頭脳明晰、きめ細かい仕事をする人だった。いまは同じ上院議員を務めているキャサリン・コルテス・マストは、当時ネバダ州司法長官で、彼女も心強い味方になった。ネバダ州もカリフォルニア同様に金融危機によって打ちのめされていたのだ。
2007年から司法長官を務めるキャサリンは、2008年に自身の〈住宅ローン詐欺ストライク・フォース〉を結成していた。そして彼女もまた、私と同じように、銀行と闘うことを決めた。2011年12月、差し押さえ詐欺と不正を暴くために私たちは手を組んだ。キャサリン以上に頼りになる、意志の強いパートナーはいなかった。
この時期最も忙しかったときには、私はチームとともにいつも全国を飛び回っていた。とりわけ、ワシントンDCでのある出来事が印象に残っている。冬の服装をしていたのに、次の日からフロリダに行かなければならなくなった。特別補佐官のブライアンとジョージタウンの洋服店に駆け込み、向こうの気候に合う服を探したのだが、ブライアンと私は互いのチョイスを軽い気持ちで批評し合って気まずい空気になったのだ。
ジェイミー・ダイモンとの電話
1月、銀行はいらだちを募らせていた。マイケル(州司法長官室首席法律顧問)がオフィスに入ってくる。
「JPモルガンの顧問弁護士との電話を切ったところです。われわれは絶対に引き下がりませんと伝えました」
「それで、向こうはなんて?」
「ずっと怒鳴りっぱなしでした。これまでだ、と言っています。ごり押しがすぎると。かなり強い調子でした。そこで電話は切れました」
私はオフィスにチームを集め、次の策を見つけ出そうとした──次があるとすればの話だが。私たちは決着の可能性をつぶしてしまったのだろうか? それともまだチャンスはあるのか? それを確かめなければならない。
しばらくのあいだ無言でじっと考えていると、あるアイデアが頭に浮かんだ。私は隣の部屋にいるアシスタントに大声で(なにしろ、インターホンが子どもの時分に使っていたのと同じ代物だったので)、「ジェイミー・ダイモンに電話をかけて」と伝えた。
ダイモンは当時も、そしてこれを書いている現在も、JPモルガン・チェースの会長およびCEOを務めている。
チームのメンバーは肝をつぶした。「いけません。弁護士を通さないと!」
「かまわないわ。電話して」
私はうんざりしていた。弁護士や仲介者をはさんでも、話はこじれていくばかりでもどかしい。いっそトップに直接ぶつかってみようと思った。状況がそれを求めていると確信したのだ。
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