カマラ・ハリス氏が銀行相手に激論した一部始終 「まるで犬の喧嘩」とハリス氏が記した対話
10秒ほどたって、アシスタントが顔をのぞかせた。「ダイモン氏と電話がつながっています」。私は(オークランド出身らしく)イヤリングを外して戦闘モードに入り、受話器を取った(訳注/Oakland tough という言葉があるくらい、オークランドの人は気丈で負けず嫌いといわれている)。
「うちの株主の金を奪い取る気か!」。私が出るやいなや、ダイモンは叫んだ。私もすかさず言い返す。「あなたの株主? あなたの株主ですって? 私の株主はカリフォルニアの住宅所有者です! あなたは彼らに会いに来るべきです。金を盗られたのが誰か、彼らに面と向かって言ってください」。こんな調子がしばらく続いた。まるで犬の喧嘩だった。のちに幹部チームのあるメンバーは、このときは「大吉と出るか、大凶と出るか、どっちだ?」と思っていたと明かした。
私はダイモンに、弁護士たちが彼の見解をどのように説明したか、私がなぜそれを受け入れがたいのかを伝えた。興奮が落ち着いたところで、こちらの要求をこと細かく話した。顧問弁護士のフィルターを通さず、私の口から直接聞くことで、私が何を必要としているかを正しく理解してもらいたかったからだ。話が終わると、ダイモンは取締役会に報告し、どうするか検討すると言った。
カリフォルニアの人々にとっての大勝利
向こうでどんな話し合いがなされたかは知るよしもない。しかし2週間後、銀行側は要求に応じた。結局、補償金の額は当初提示された20億~40億ドルではなく、180億ドル以上を確保し、最終的な救済額は200億ドルとなった。カリフォルニアの人々にとっては大勝利だった。
和解措置の一環として、連邦政府は監視人を任命して、銀行が取り決めを順守したかどうかを確認させることになった。だがカリフォルニアがさらされているリスクの大きさを考えると、それだけではまだ不安だった。そこで独自の監視人を採用し、わが州における合意の実行を監視する権限を与えることにした。
私はワシントンに呼ばれていた。大々的な発表の場、つまり司法省とホワイトハウスで開かれる大規模な記者会見と祝賀会に参加してほしいといわれたのだ。しかし、私はチームと自分の場所にいたかった。勝利を分かち合うべき相手はわがチームだ。それに、この先に待ち受けている次の闘いに向けて、ギアを上げていかなければならなかった。
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