「未使用の新聞紙がアマゾン大量出品」の深い事情 ペットトイレ用で販売、実は新聞の苦境を反映

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商品の発送元は、「愛知県海部郡蟹江町今西(略)AMAZON・楽天市場通販事業部」となっている。海部郡は名古屋市に隣接する自治体である。

発送元に電話で新聞紙の入手ルートを尋ねたところ、新聞販売店から回収しているとの返答があった。ただし販売店名は分からなかった。

届けられた残紙の束(写真:弁護士ドットコム)

楽天でも売られる残紙

楽天にも新聞紙という品目があったので、こちらも調査目的で注文してみた。5月10日に残紙束が到着した。全部で83部あった。そのうちの67部が朝日新聞だった。ほかに日経新聞、日経ビジネス、日経MJ、日刊工業新聞が16部含まれていた。

新聞の発行日は、4月26日から27日である。新聞に手垢や皺がないことや、日付けから察して、こちらも廃品回収の古紙である可能性はほとんどない。ネットショップの商品説明にも「未使用新聞紙」と書いてある。

残紙の発送元は、兵庫県姫路市四郷町(略)だった。電話で残紙の仕入元を問い合わせたところ、販売店とのことだった。

残紙は、日本内外のリサイクル工場などへ販売されるものを除くと、ペット飼育、包装、緩衝などの目的で使われているようだ。アマゾンのレビュー欄には、次のような書き込みがある。

「我が家では新聞を取っていないため何かと使用する新聞が無く困っていました。最近まで実家に行ったときにもらっていたのですが、汚れていることが多くて嫌でした」

名古屋市内に在住する元新聞販売店主も残紙の用途について、自らの体験を次のように話す。

「現役だったとき、読者の中にブリーダーがいました。その人に『押し紙』をただで差し上げていました」

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