日経平均株価が上がりにくくても下がらないワケ 再度浮上するのは、一体いつごろになるのか
前回の本欄「日経平均の潮目が変わったと言える『明確な証拠』」では、日本における需給(流動性)相場の象徴であるマネーストックM3の4月の数字は、前月比18.6兆円増の1508.2兆円(平残)と過去最高の残高となり、いわゆる「お金の流れ」もまったく変わっていなかったことに触れた。
では直近はどうか。その後発表された5月の数字も、同7兆円増の1515兆2000億円と「記録」は更新された。
また、日本銀行の「資金循環統計」で見ても、株式へのお金の流れが期待できそうだ。平成バブル崩壊以降、「失われた30年」の中で日本は多くのものを失ったが、その間、個人金融資産は着実に増え続けた。6月25日8時50分に発表予定の最新の「資金循環統計(1~3月期)」では、1990年の2倍の約2000兆円が予想される。
株への流れは続くが、一気の強気は禁物
「資金循環統計」の大きな流れだけ見ると、株式等・投信への投資比率は年々低下して約14%に低下し、多くの個人投資家が市場から離れたように見える。しかし、最近の個人投資家の新規参入はすさまじく、証券口座の増え方から見ても、明らかに逆流している。大きな地殻変動が控えているような気がしてならない。
ただし、これも前回書いたことだが、ここで一気の強気も禁物だ。ほんの少し前は日経平均で2万8000円の攻防だったのである。それが2万9000円前後のモミ合いになったのだから、まずは十分だと考えよう。大きな相場は、まだまだ先なのだ。
簡単にいえば、買い勢力と売り勢力の攻防戦の「勝ち負け」は、短期では25日移動平均線、中期では75日移動平均線を意識して決まる。
短期戦では、日経平均は5月28日の前日比600円高で25日移動平均を抜けたことで勝ちを収めている。だが、中期線のターニングポイントである75日移動平均(6月11日現在2万9133円)は、まだ抜けないでいる。
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