日経平均株価が上がりにくくても下がらないワケ 再度浮上するのは、一体いつごろになるのか
つまり、中期での負け(株価の移動平均線からの下方乖離)状態は5月11日以降ずっと続いていることになる。ではその原因は何か。ズバリ、企業業績の回復具合だ。
世界から出遅れていたワクチン接種が急速に進み、2021年度の企業業績は、増益が確実視されている。だが、4~6月期の回復においては、なお不透明感が残っている。
それを占う意味で非常に重要だったのが、先週発表された4~6月期の「法人企業景気予測調査」である。
景気回復が遅れても株価が下がらないワケ
このうち、大企業全産業の景況判断指数はマイナス4.7と、1~3月期のマイナス圏から脱出できなかった。回復著しい製造業ですらマイナス1.4、コロナの影響が厳しい非製造業はマイナス6.2となっており、業種別では半導体不足で減産した自動車がマイナス16.0、外出自粛の宿泊・飲食がマイナス32.3と大きく落ち込んだままだった。
このように、数字で見ると企業業績の回復が後ずれしていることが明らかになり、7月の決算発表を期待していた投資家にかなりの失望感を与えた。本格回復が7~9月期にずれ込むとしたら、それが確認される秋以降を待たなければならないからだ。このままでいくと「回復は10~12月期にさらに後ずれする」との見方もある。
では、株価はなぜ下がらないのか。株は、上がらなければ必ず下がるものだ。下がらないのは、やはり理由があるからだ。前述のように、中期攻防戦では負け状態が続いているとしたが、実はその「勝敗ライン」はすぐ越せる目の前にあるのである。
また、200日移動平均線を基準とした長期攻防戦に至っては、上方乖離をしており、勝っているため、資金的に余裕の筋も多い。海外のアクティブファンドなどは先を見据えて「アフターコロナ」を買っている。
例えば、各種のREIT(不動産投資信託)や不動産株が強いのは、その現れの1つだ。またハイテク株も、金利がさほど上昇しないと見て、押し目は買われている。
さて、最後に目先の株価はどうなるだろうか。先週は先物とオプションの清算値が決まる「メジャーSQ(特別清算指数)」を通過したが、日経平均のSQ値は2万9046円で、これはほどよい結果だった。
このSQ通過から流れが変わると見る向きもある。今週は国内では日銀金融政策決定があるが、それよりもマーケットのカギを握るのは、やはり日本時間17日に結果が発表されるFOMC(連邦公開市場委員会)と、その後のジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見だ。
また、FOMCの前にはアメリカの景気指標(5月PPI、5月小売売上高、6月NY連銀製造業景況指数、5月鉱工業生産指数・設備稼働率、4月企業在庫、6月全米住宅建設業協会<NAHB>住宅市場指数、4月対米証券投資)などが怒濤のごとく発表される。今後の市場がますます面白くなってきた。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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