「一人っ子政策」でも中国の若者に兄弟が多い謎 中国人ですら把握できないほどの例外規定も
少子高齢化に悩む中国政府は5月末に「第3子」容認を打ち出した。1979年に導入された一人っ子政策は2015年に撤廃されたが、政策効果は現れず、わずか6年で産児制限がさらに緩和されることになった。
ところで「中国=一人っ子政策」は世界的にも有名だが、中国人と交流していると、きょうだいがいる20代、30代に時々遭遇する。筆者が中国人を取材し、「兄がいる」ことなどを記事で紹介すると、読者から「中国は一人っ子政策なのにおかしい。フェイクニュースだ」「身元を隠すために設定を変えているのか」と指摘されることもある。
だが実は、一人っ子政策には、当の中国人ですら全体を把握できないほどのさまざまな「例外規定」が存在する。
少数民族、農村は第2子OK
筆者は2010年代前半、少数民族比率が65%を占める中国の大学で教鞭を執っており、多くの学生にきょうだいがいることに「日本で聞いていた話と違う」と面食らった。
本人たちに聞いたところ、農村地域の大半で、働き手確保のために「1人目が女子の場合は、2人目を産んでもいい」という規定があった。ただし、第2子が女子の場合に3人目を持つのは許されなかったという。
また、少数民族はおおむね第2子を許容されていた。1984年生まれ、黒竜江省出身の朝鮮族男性は「私の地域・世代だと、朝鮮族は5歳以上離れていれば2人産むことができた」と話した。きょうだいがいる人たちは大半が「農村出身」か「少数民族」だったが、例外はまだまだある。
新疆ウイグル自治区出身の女性(30歳)も兄がいる。彼女によると親戚、友達もほとんどきょうだいがおり、罰金を払ったという話も聞いたことがないため、大都市の大学に進学するまで一人っ子政策を知らなかった。
最近自身が結婚したのを機に色々調べたところ、同自治区の少数民族は、職業によっては第3子まで持てるようだと知った。ただ、彼女は「少数民族保護のため、ウイグル族やカザフ族が子どもをたくさん持てるのはわかるのですが、うちの家族や親戚は漢族なんです」と解せない様子だ。少数民族の友人には、「新疆ウイグル自治区で漢族を増やすための闇政策なのでは」と冗談交じりに言われたが、真相はわからない。
内陸部の30代女性、韓晴さん(仮名)は、兄が病弱だったことから、両親が政府に申請して第2子(韓さん)を持つことが認められた。「兄が難病を患っていて、長く生きられないかもしれない。産める年齢のうちに、2人目を産んでおきたいとたくさんの書類をそろえて申請したそうです。年齢も10歳近く離れているので、認められたのかもしれません」
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