横浜に登場「都市型ロープウェー」は世界で活躍 増える導入、NYやロンドンで観光と日常の足に

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ガイア・ロープウェーが都市型ながら交通機関というよりアトラクション的な要素が強い理由は、1つにはポルト市内から直接結ばれていないという難点があるためだ。

ポルトガルの都市、ポルトの「ガイア・ロープウェー」(写真:brazzo/iStock)

だが、ガイアは世界に知られるポートワインの一大産地で、ドウロ川沿いには有名なワイン工場が立ち並ぶ。ゴンドラからはこうした工場群やドウロ川、さらに川にかかるドン・ルイス1世橋の景観などが楽しめる。運賃は片道6ユーロ(800円強)と横浜(大人片道1000円)に近い。

コロナの影響で1年以上運休していたが、5月1日から運行を再開。先に行われた欧州クラブサッカーの最高峰を競う、UEFAチャンピオンリーグの決勝をポルトで引き受け、推定1万2000人もの英国人ファンが押し寄せた。対岸にある観光地であるガイアは大いに賑わったことだろう。

コロナ禍で「ゴンドラ観光」人気に?

コロナ禍においては、「他人との距離」(ソーシャルディスタンス)をどう取るか、が人々にとって重要なポイントだ。そうした中、5月中旬から一部の国の観光客を受け入れ始めたロンドンでは、ロープウェーの人気が高まっている。

「自分たち1組ずつで乗れそう」と考える人が多いからか、とくにそうしたアナウンスもないにもかかわらず、平日でも行列ができるような賑わいぶりだ。実際に、ゴンドラは家族1組ごと、といったように他人との混乗を避ける形で乗車案内がなされている。しばしプライベート感を味わいながらの観光が楽しめるというわけだ。

観光客が列をつくるロンドンのエミレーツ・エアーライン乗り場=2021年6月(筆者撮影)

土地に慣れない観光客にとって都市の交通機関はわかりにくく、とりわけバスは「どこに連れていかれるかわからない乗り物」といえる。だが、ロープウェーはほかの軌道系交通と同様、確実に目的地に行けるというある種の「安定感」がある。さらに、ロープウェーは特徴ある地形や景観がある場所に架設されていることがほとんどで、乗り物に興味がない人でもツーリストアトラクションとして楽しめよう。一方、イタリアでは5月にロープウェーの落下事故が起きた。交通機関として普及するためにも原因究明と安全対策の徹底が求められる。

世界各地で都市型ロープウェーが注目される中、みなとみらいの風景を文字通り「高みの見物」できるヨコハマエアキャビンも順調に運営されることを見守りたい。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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