車両お披露目「宇都宮LRT」、喜び一色でない現実 インフラ整備も進みつつあるが事業費大幅増加
2023年3月の開業を目指し、栃木県宇都宮市と隣接する芳賀町で建設中の次世代型路面電車(ライトレール)「芳賀・宇都宮LRT」。その車両が5月31日、ついに姿を現した。
工事が進む車両基地の一角で、関係者約80人が出席して開いた「お披露目式」。宇都宮市の佐藤栄一市長や芳賀町の見目匡(けんもく・ただし)町長らによって車体を覆う幕が取り払われると、鮮やかな黄色とダークグレーのカラーリングに包まれた流線形の車体が青空の下に輝いた。
2013年3月に同市がLRTの整備に向けた基本方針を策定してから約8年、2018年6月に建設工事が始まってから約3年。シンボルとなる車両の登場は、LRT事業の大きな節目といえる。式典で佐藤市長は「車両をお披露目できることは、本事業の1つの集大成」と強調、車両を活用することで「より一層開業に向けた機運醸成に取り組みたい」と述べた。
黄色い車体は「雷」イメージ
芳賀・宇都宮LRTは、JR宇都宮駅東口から市東部の清原工業団地を経て、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約14.6kmを結ぶ予定の路線。多くの区間は道路上を走り、鬼怒川を横断する付近など一部は専用の軌道を通る。インフラは市と町が整備し、運営は第三セクターの「宇都宮ライトレール」が担う。
黄色に輝く車両は3つの車体を連ねた3連接車で、愛称は「ライトライン」。LRT(ライトレールトランジット)のライトや、雷が多い宇都宮周辺の呼び名であるという「雷都」などの意味を含んでいる。黄色のカラーリングも雷光のイメージで、デザイン案や愛称は住民アンケートに基づいて決定した。先鋭的な先頭部の形や塗り分けは、LRTの「L」字を意識している。
車両の構造では、輸送力を高めるため「国内最大・最多」が目立つのが特徴だ。全長は国内の路面電車車両では最大級となる29.52m、車体幅も低床式の電車では国内最大の2.65m。長さと幅を広げることで、定員は国内の低床車両で最多という約160人を確保した。
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