大抵の人が知らない「試験に受かる文章」書くコツ 就職試験の小論文やエントリーシートのツボ

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もとゆき:何も問題ないのでは……。

今道:文章そのものは整っていて、特に問題はないですよね。でも、私が採点するとしたらせいぜい50点というところですね。

もとゆき:どうしてですか?

「問題文のキーワードは何か」を探る

今道:だって、問題をよく読んでください。ここで聞いていることは何ですか?

もとゆき:「あなたが大学時代に挑戦したこと」です。

今道:ここでは、何に注意して書かなければいけないのでしょう?

もとゆき:「注意して書く」というと?

今道:言い方を変えると、「問題文のキーワードは何か」ですね。それを探るには、問題文の中で省いても構わないところを省いていきます。「あなたが」というのはわざわざ言われなくてもわかりますよね。残りは「大学時代に挑戦したこと」です。「したこと」も省いても意味はわかります。残ったのは「大学時代」と「挑戦」という言葉です。これはどっちを省いても意味がわからなくなります。

もとゆき:それがキーワードだということですね。

今道:はい。「大学時代」の話で、なおかつ「挑戦」したこと、この2つの条件を満たして書かなければならないということです。先ほどの答案は「大学時代」のことを書いていますから、この点はクリアしています。もうひとつのキーワード、「挑戦」はどうでしょう。この答案は「挑戦」を書いているでしょうか。「挑戦」ってどんな意味ですか?

もとゆき:チャレンジというか、挑むというか……。

今道:そうですね。英語で言えば「チャレンジ」ですが、要するに何か普通とは違うハードルの高いことに挑むときに使いますよね。毎日歯を磨くとか、そういう当たり前のことは「挑戦」とは言いません。つまり、この問題文を読んだときに「ちょっとハードルが高いことを書かないと駄目だな」と気付かないといけないんです。

もとゆき:なるほど……。

今道:この解答例では、淡々とアルバイト経験を書いてありますが、アルバイトなんて大学生なら誰でもやっているし、「レジ打ち、商品の陳列、清掃」だって、そこで働いているならやるのは当たり前のことですよ。これでは「挑戦」にはなりませんね。「挑戦」を聞かれているのに、「挑戦」を書いていないんです。「問題を読んでいない」というのはそういうことなんですよ。

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