ウォルマートが世界最強小売企業の座を固めた訳 アマゾンに押され「時代遅れ」と言われたが今や

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さらに、新しいビジネスモデルで特に目を引くのが、広告プラットフォーム事業「ウォルマート・コネクト」です。自ら広告プラットフォームを運用することで、自社サイトや店内サイネージなどに取引先からの広告を表示し、新たな収入源とする狙いがあります。

プライバシー重視の流れの中、これまでオンラインでのターゲティング広告に不可欠だった「サードパーティクッキー」が利活用できなくなりつつあります。アップルやグーグルも「脱クッキー」へと舵を切りました。これから各社は、広告事業者に頼らず、企業自らメディア化して顧客と直接的な関係を結び、顧客プライバシーを保護しつつ、継続的で良好な関係性を築いていくことが、ますます求められてきます。

ウォルマート・コネクトは、その先端事例だと言えます。それどころか、世界最強の小売企業ウォルマートだからこその強みを生かせば、「5年以内に全米トップ10の広告プラットフォームになる」ことも可能であるように思われます。

「顧客の生活の一部」として不可分に組み込まれているウォルマートは、すでに単なるリテーラー以上の存在であり、蓄積しているデータも、データ企業以上のものです。そのような企業がメディアを運営するとなれば、メディア以上のメディアになるのも難しくはないのかもしれません。それだけ巨大なスケールとリーチを持った企業がウォルマートなのです。

「デジタルで顧客とつながる」を着実に進める

私はウォルマートを「この1年間で最もデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んだ企業」の1つだと見ています。トリガーとなったのは、やはり新型コロナ禍です。一時は世界最悪レベルの危機に見舞われたアメリカは、同時に最も強くイノベーションが求められた国でもありました。

とりわけウォルマートが扱うのは、人々が生活していくうえで欠かすことができない日用品や生鮮食品であり、エッセンシャルサービスです。コロナ禍にあってもウォルマートで買い物がしたい、そんな強いニーズから「コンタクトレス」のサービスが一気に浸透していきました。

しかし、コロナ禍が追い風になったというだけでは、ウォルマートDXの成功を説明できません。あらためて振り返ってみると、ウォルマートがこれまでアマゾンを徹底的にベンチマークしてきたことは、見逃せない事実です。

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