ウォルマートが世界最強小売企業の座を固めた訳 アマゾンに押され「時代遅れ」と言われたが今や

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2021年2月18日の投資家向けのカンファレンスでは、ウォルマートの「新しいビジネスモデル」が発表されました(図1)。「カスタマーセントリック」を軸にして従来のサービスラインを再構築していることが最大の特徴です。ビジネスモデルを構成する要素をそれぞれ見ていきましょう。

図1:ウォルマートの新しいビジネスモデル(2021年2月18日の投資家向けカンファレンスでの資料をもとに筆者作成)

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

⃝ 主要な顧客接点で販売する:顧客との直接的な接点となるのは、ストア、ピックアップ、デリバリー、そしてウォルマート+の4つ
⃝ 顧客にもっと幅広く深くサービスを提供し、関係を深め、健全なサービスミックスを維持する:ここでは、EC、ヘルス&ウェルネス、金融サービスの3つ

ECでは引き続き、自社在庫商品の販売とマーケットプレイスの両方を展開します。またアプリ上で処方箋を受け取る仕組みを整えるなど、従来からヘルス&ウェルネスの領域にも積極的だったウォルマートですが、今後はさらに高品質で、予防的で、アクセスがしやすく、手頃な価格の商品・サービスを提供すると強調しました。

金融サービスについても、「ウォルマートペイ」を非接触決済システムとして刷新すると、一気に普及が進みました。これはコロナ禍を背景とした「コンタクトレス」の時流が強力な追い風となった形です。

EC、ヘルス&ウェルネス、金融に照準

また従来、家電製品などの購入に使う「ウォルマート・アップ(Walmart app)」と食品購入用の「ウォルマート・グロサリー・アップ」の2種類があったアプリをウォルマート・アップに統合し、そこにウォルマートペイも搭載しました。これでウォルマートは、顧客のIDと決済データという、最も基本的な顧客接点を押さえたことになります。今後は、中国のアリペイ、ウィーチャットペイがそうであるように、消費者金融をはじめとするさまざまな金融サービスを手掛けていくことになると予想されます。

なお図1は、EC、ヘルス&ウェルネス、金融サービスこそが、現在のウォルマートにとって優先順位の高いサービスラインであることも示唆しています。ウォルマートが構築するエコシステムは巨大ですが、カスタマーセントリックを考えるならば、この3つこそ最も顧客にとって身近である、ということなのでしょう。

次ページ広告プラットフォーム事業も目を引く
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事